2025年に還暦を迎える「1965年生まれ世代」は、バブル期の就職や長期の経済停滞を経験した転換期の世代でもあります。

PGF生命の最新調査によると、この世代の多くが「定年=引退」とは考えておらず、60歳以降も働き続ける意欲を持っています。

一方で、物価上昇や生活費の増加を背景に、貯蓄額には大きな差が広がっており、老後の備えに不安を感じる人も少なくありません。

本記事では、2025年に60歳を迎える「還暦人(かんれきびと)」の貯蓄・就労意識の実態をもとに、現シニア世代の暮らしぶりとこれからの生き方を考えます。

1. 2025年に60歳を迎える「還暦人(かんれきびと)」の貯蓄額と就労意識

PGF生命が実施した「2025年の還暦人(かんれきびと)に関する調査」では、2025年に60歳を迎える1965年生まれの男女2000名を対象に、貯蓄や就労意識について聞いています。

少子高齢化が進むなかで、「60歳=引退」ではなく、まだまだ働く世代としての実像が見えてきます。

1.1 還暦人の平均貯蓄額は「2460万円」、中央値は「475万円」

調査によると、還暦人の平均貯蓄額は2460万円、中央値は475万円でした。

中央値が平均額より大幅に低いことから、貯蓄額の格差が大きいことがうかがえます。

内訳を見ると、

  • 100万円未満:30.0%(最多)
  • 100~300万円未満:15.8%
  • 500~1000万円未満:11.8%
  • 1000~1500万円未満:9.8%

という結果であり、約3人に1人が「貯蓄100万円未満」と回答しています。

一方で、退職金の受け取りを控えている人も多く、今後貯蓄が増加する可能性もあります。

なお、今回の平均貯蓄額(2460万円)は、同調査開始以来もっとも低い水準となっており、物価上昇や生活費の増加が家計に影響していると考えられます。