1.2 「60歳で引退」は過去の話。約87%が“働き続けたい”

近年は「定年=引退」という概念が薄れ、60歳以降も働く意欲を持つ人が増えています。

同調査によると、59歳時点で就労している(または就労していた)人1486名のうち、

  • 男性:85.7%
  • 女性:89.0%
  • 全体:87.1%

が「60歳以降も働きたい」と回答しました。

さらに、そのうち約半数(44.0%)が「70歳以上まで働きたい」と答えており、定年を迎えてもなお働く意欲を持つ人が多いことがわかります。

この背景には、生活費の確保だけでなく、「社会とのつながりを維持したい」「生きがいを感じたい」といった心理的な要素もあるのでしょう。

また、企業側も人手不足を背景にシニア人材の活用を進めており、60歳以降の再雇用や柔軟な働き方の選択肢が広がっていることも追い風となっています。

1.3 60歳を過ぎても働く理由「生活費が不足するから」が最多

同調査では、60歳を過ぎても働きたい理由についても尋ねています。

もっとも多かった回答は、「働かないと生活費が不足するから」(56.6%)でした。

続いて、

  • 健康を維持したいから(43.0%)
  • その歳までは元気に働けると思うから(41.3%)
  • 生きがい・やりがいがほしいから(32.1%)
  • 人と関わりを持ちたいから(31.4%)
  • 趣味やレジャーのためのお金が必要だから(30.6%)

と並んでおり、経済的な理由に加えて、健康維持や社会参加、生きがいの確保を重視する人が多いことがわかります。

ここまで、2025年に還暦を迎える「還暦人(かんれきびと)」の就労意識を見てきました。

次章では、実際のシニア世帯の「貯蓄額」や「年金受給額」から見える暮らしの実態を見ていきましょう。