2025年の最低賃金は、全国平均で1121円になることが決まりました。
賃金上昇のスピードが物価上昇に追いつかないと言われるなか、税金や社会保険料の負担を抑えるために「扶養の範囲内で働きたい」と考える人も多いでしょう。
ただし、扶養に入るための収入や所得を計算するとき、交通費の取扱いには注意が必要です。
本記事では、税金と社会保険で異なる交通費の取扱いについて解説します。2025年度に大きく変わった年収の壁も紹介しますので、これからの働き方を考えるときの参考にしてください。
1. 扶養とは?所得税法上と社会保険上の扶養
「扶養内で働きたい」というときの扶養には、所得税法上の扶養と社会保険上の扶養の2種類があります。
1.1 所得税法上の扶養
所得税法上の扶養とは、配偶者や親など本人を扶養してくれる人(扶養者)が、扶養控除などを受けられる状態をいいます。扶養控除などによって扶養者の所得税や住民税が軽減されます。
扶養されている配偶者(控除対象配偶者)の所得が所定基準以下であれば、扶養者に「配偶者控除」や「配偶者特別控除」が適用されます。
扶養されている親族(控除対象扶養親族)の所得が所定基準以下の場合、扶養者に適用されるのは「扶養控除」です。