老後の生活費が「厚生年金や国民年金」だけでは不足する場合、貯蓄を切り崩して補填することが考えられます。
しかし、十分な貯蓄高がなければいつかは枯渇し、毎日の生活が不安に満ちたものになってしまうでしょう。
そこで本記事では、ふつうのシニアは「貯蓄がどのくらいあるのか」、また「厚生年金や国民年金の平均受給額」はいくらなのかを解説します。
シニア世代の就業状況や生活における意識についても確認していきますので、参考にご覧ください。
1. ふつうのシニア「貯蓄の平均・中央値」はいくら?
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、65歳以上の二人以上世帯の貯蓄の平均値は2509万円、中央値は1658万円です。
貯蓄高が2500万円以上の世帯は、全体の35.2%と約3分の1を占めています。
さらに、4000万円以上の世帯は20%となっており、5世帯に1世帯が該当することになります。
しかし一方で、300万円未満の世帯は全体の14.8%存在しており、高額な貯蓄のある世帯とそうでない世帯の差が大きくなっていることがわかります。
なお、その他の50%の世帯は、300万円以上2500万円未満の範囲で幅広く分布しています。
このように、貯蓄額は世帯により大きく異なることがわかりましたが、公的年金は平均どのくらい受給しているのでしょうか。次章で確認していきましょう。
2. ふつうのシニアの年金受給額「厚生年金・国民年金」は月いくら?
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金と国民年金の平均受給額はそれぞれ以下の通りです。
厚生年金受給額(月額)
- 全体:14万6429円
- 男性:16万6606円
- 女性:10万7200円
国民年金受給額(月額)
- 全体:5万7584円
- 男性:5万9965円
- 女性:5万5777円
厚生年金は約14万6000円、国民年金は約5万8000円となっています。
しかし、男女別に見ると国民年金は男女間に差はほとんどありませんが、厚生年金では男性の方が女性よりも6万円ほど高額になっています。
厚生年金は、現役時代の収入や厚生年金保険への加入期間などにより受給額が決まります。
そのため、収入が高いほど、また加入期間が長いほど高額になるのが一般的です。
このような理由から、老後受給できる年金額は、男性の方が女性よりも高額になることが多いです。
一方、国民年金受給額は、保険料の納付月数や保険料の免除・猶予を受けた期間によって決まるため、現役時代の年収の影響をほとんど受けず、男女間の差も小さくなります。
上記の平均受給額を見て「老後の生活費にもっとゆとりを持たせたい」と感じた方もいるでしょう。
収入を上げるには働くのが一般的な方法の1つとされていますが、内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によると、65歳以上で働き続ける方の割合は上昇傾向にあります。
次章では、令和7年版高齢社会白書をもとに「高齢者の就業状況」や「生活への意識」について深堀りしていきます。
3. 「令和7年版高齢社会白書」で見る高齢者の就業状況や意識
内閣府の令和7年版高齢社会白書をもとに、現在の「高齢者の就業状況」や「生活に対する意識」について見ていきましょう。
3.1 65歳以上も働く人は年々増加している
内閣府の令和7年版高齢社会白書によると、労働力人口全体に占める65歳以上の方の割合は13.6%となっており、年々上昇傾向にあります。
また、65歳以上の就業率も、長期的に上昇傾向が続いています。
65歳~69歳「就業率の推移」
西暦:就業者数・就業率
- 2014年:40.1%
- 2016年:42.8%
- 2018年:46.6%
- 2020年:49.6%
- 2022年:50.8%
- 2024年:53.6%
2024年度の就業率は、65歳〜69歳が53.6%、70歳〜74歳が35.1%、75歳以上が12.0%という結果です。
60歳代後半の約半数が、70歳代前半の約35%が就業していることになります。
3.2 「働けるうちはいつまでも働きたい」人が多い傾向に
「何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか」という問いに対し、「働けるうちはいつまでも」と回答した方は全体で22.4%を占めています。
また、収入のある仕事をしている方については、33.5%が「働けるうちはいつまでも」と回答していることがわかりました。
年齢ごとの結果は以下の通りです。
何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか(全体の回答)
- 65歳くらいまで:23.7%
- 70歳くらいまで:20.0%
- 75歳くらいまで:13.7%
- 80歳くらいまで:5.3%
- 働けるうちはいつまでも:22.4%
- 仕事をしたいとは思わない:11.3%
- 不明・無回答:3.6%
「75歳くらいまで」が13.7%、「80歳くらいまで」が5.3%という回答率となっており、高齢になっても働く意欲のある方が少なくないことがわかります。
3.3 「家計の心配はない、または少ない」世帯が多い
内閣府の同調査で60歳以上の方に経済的な暮らし向きについて尋ねたところ、「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」方が51.1%と半数以上を占めている結果となりました。
「家計にゆとりがあり、まったく心配なく暮らしている」と回答した方と「家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしている」と回答した方の合計は以下の通りです。
- 65歳〜69歳:66.9%
- 74歳〜74歳:62.8%
- 75歳〜79歳:67.4%
経済的な心配がない、またはほとんどない方が6割〜7割近くを占めていることがわかります。
公的年金を受給しつつ就労収入を得ることで、経済的な余裕ができ、資金面で不安の少ない生活を送れていると考えられます。
4. シニアの貯蓄は多い世帯と少ない世帯で「二極化の傾向に」
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65歳以上の二人以上世帯のうち、貯蓄額が2500万円以上の世帯は全体の35.2%を占めています。
さらに、4000万円以上の世帯は20%と、5世帯に1世帯が該当しています。
しかし、貯蓄が300万円未満の世帯も14.8%存在しており、貯蓄高の高い世帯と低い世帯の差が大きくなっているのが現状です。
また、65歳以降も働き続ける方は年々増加しており、働けるうちは働きたいと考えている方も多いことがわかりました。
健康状態やご家庭の状況に応じて「できる限り仕事を続ける」ことがスタンダードになりつつあるといえるでしょう。
参考資料
木内 菜穂子