「国家公務員と地方公務員、給与が高いのはどちらか?」
多くの人が一度は気になったことがあるテーマではないでしょうか。一般的には「国家公務員のほうが給与は高そう」というイメージを持たれがちですが、実際のデータを見ると必ずしもそうとは限りません。
なお、国家公務員の給与は全国一律の基準で決まる一方、地方公務員は自治体ごとの財政力や地域手当の有無によって水準が変わります。
そのため、自治体によっては国家公務員を上回る給与を得ているケースも存在するのです。
本記事では、国家公務員と地方公務員の「平均給与・賞与」を比較します。
また給与水準について、ラスパイレス指数をもとに《地域ごとの実情》をご紹介します。
1. そもそも「国家公務員」と「地方公務員」の違いとは?
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まずは、「国家公務員」と「地方公務員」の主な違いを簡単にまとめました。
所属先・勤務場所
- 国家公務員:国の行政機関に所属(中央省庁やその出先機関)。全国転勤あり。
- 地方公務員:都道府県庁、市区町村役場、教育委員会、警察本部などに所属。勤務は基本的にその自治体内に限定。
仕事の範囲
- 国家公務員:国全体の政策立案や実行(法律の作成支援、外交、防衛、税務など)。
- 地方公務員:住民生活に密着した行政サービス(福祉、教育、上下水道、地域開発など)。
給与の決まり方
- 国家公務員:人事院勧告に基づき、全国共通の俸給表で決定。地域差は「地域手当」で調整。
- 地方公務員:総務省が示す基準を参考に、各自治体の条例で決定。財政力や地域特性により水準に差が出る。
採用試験・キャリア
- 国家公務員:国家公務員試験(総合職・一般職など)に合格し、各省庁に配属。キャリア官僚コースなども存在。
- 地方公務員:地方公務員試験(都道府県・市区町村ごと)に合格し、地元自治体に就職。基本的に自治体間の異動はない。
2. 国家公務員と地方公務員の平均給与・賞与はどれくらい?
国家公務員と地方公務員では、給与の仕組みや支給水準に違いがあります。ここでは、最新の統計をもとに両者の平均給与・賞与を見ていきましょう。
2.1 国家公務員の平均給与・賞与
人事院「令和7年国家公務員給与等実態調査」のデータによると、国家公務員(全俸給表)の平均給与月額は42万4979円(※)となっています。
※令和7年1月15日現在に在職する常勤職員を対象
また、内閣人事局の報道資料によると、令和6年6月期および令和6年12月期の賞与(平均支給額)は以下のとおりです。
- 令和6年6月期:約65万9400円
- 令和6年12月期:約65万2800円
ただし、職種や年齢、勤務地などによって幅があるため、あくまでも平均値であることを理解しておきましょう。
2.2 地方公務員の平均給与・賞与
総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」によると、全地方公共団体の平均給与月額は36万1724円(国比較ベース)となっています。
なお、地方公務員の平均賞与は単純に算出できないため、東京都職員の一人当たり平均支給額(推計、令和7年度の夏季特別給)を見てみましょう。
東京都の場合、平均年齢41.5歳で一人当たりの平均支給額は104万7139円となっています。
ただし、国家公務員と同様に、職種や年齢、勤務地などによって幅があるため、あくまでも平均値であることを理解しておきましょう。
3. 国家公務員と地方公務員の《給与水準》を比較する「ラスパイレス指数」とは?
国家公務員と地方公務員の年収はどちらが高いのかを一概に比較することはできませんが、それぞれの給与水準を比較した割合を示す「ラスパイレス指数」という指標があります。
計算式はシンプルで、「ラスパイレス指数=(地方公務員の平均給与月額÷国家公務員の平均給与月額)×100」で求められます。
ラスパイレス指数が100以上であれば、地方公務員のほうが高い給与水準にあることを示します。
参考までに、都道府県のラスパイレス指数を高い順に見てみましょう。
3.1 都道府県のラスパイレス指数(高い順:100以上)
- 静岡県:102.2
- 三重県:101.1
- 愛知県:101.0
- 広島県:100.9
- 福岡県:100.8
- 東京都:100.5
- 山梨県:100.5
- 大阪府:100.4
- 埼玉県:100.3
- 岡山県:100.3
- 山形県:100.2
- 茨城県:100.2
- 秋田県:100.1
- 宮城県:100.0
- 福島県:100.0
- 群馬県:100.0
- 神奈川県:100.0
- 長野県:100.0
では、ラスパイレス指数が「100よりも低い」都道府県はどこでしょうか。次章で見ていきましょう。
3.2 都道府県のラスパイレス指数(高い順:100よりも低い)
- 大分県:99.8
- 香川県:99.7
- 千葉県:99.6
- 滋賀県:99.6
- 佐賀県:99.6
- 新潟県:99.5
- 石川県:99.5
- 和歌山県:99.5
- 岩手県:99.4
- 栃木県:99.4
- 京都府:99.4
- 岐阜県:99.3
- 兵庫県:99.3
- 山口県:99.3
- 熊本県:99.3
- 富山県:99.2
- 奈良県:99.1
- 北海道:99.0
- 福井県:99.0
- 徳島県:99.0
- 高知県:98.7
- 愛媛県:98.4
- 長崎県:98.4
- 島根県:98.2
- 沖縄県:97.8
- 宮崎県:97.3
- 青森県:96.8
- 鳥取県:96.6
- 鹿児島県:96.3
ラスパイレス指数が最も高いのは静岡県の102.2、逆に最も低いのは鹿児島県の96.3となっています。
なお、ラスパイレス指数は都道府県単位だけではなく、市区町村ごとにも算出されています。
4. まとめにかえて
国家公務員と地方公務員の給与を比較すると、国家公務員は全国一律の基準に基づく一方で、地方公務員は自治体ごとの財政力や地域手当の有無によって水準が変わります。
そのため、地域によっては地方公務員が、国家公務員を上回る給与を得ているケースも存在します。
また、両者の水準を比較する「ラスパイレス指数」では、静岡県のように100を超える自治体もあれば、鹿児島県のように100を下回る自治体もあります。
つまり、国家公務員のほうが給与が高いとは限らず、勤務先や地域によって実情は大きく異なるのです。
公務員を目指す際には、国家公務員か地方公務員かだけでなく、希望する職種や勤務地の給与水準も含めて検討することが重要だといえるでしょう。
参考資料
- 人事院「令和7年国家公務員給与等実態調査」
- 内閣人事局「令和6年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
- 内閣人事局「令和6年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
- 総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」
- 東京都「夏季の特別給の支給について」
- 総務省「令和6年地方公務員給与実態調査結果等の概要」
加藤 聖人