2. 【生活保護】申請件数が増えているのはなぜ?

生活保護の申請件数が増えている主な理由としては、単身世帯の増加や物価高などが挙げられます。

単身世帯は近年増加傾向です。2020年の国勢調査では、単身世帯が2115万1000世帯と、一般世帯の38.1%となっています。

2015年の調査から14.8%増えており、夫婦と子どもからなる1394万9000世帯(25.1%)よりも多くなっている状況です。今年度の調査では、さらに増加している可能性も考えられます。

単身世帯は、自身が働かなければ収入が得られません。しかし、さまざまな事情で職に就けず収入を得られない人も存在します。

単身世帯が増えればこうした人も増加すると考えられるため、結果的に生活保護の申請件数増加につながっているのです。実際、前述の保護を受けている高齢者世帯90万4538世帯のうち、84万3197世帯が単身世帯となっています。

また、物価の上昇も保護件数増加の要因です。2025年7月の消費者物価指数(総合指数)は、2020年を100として111.9となっており、前年同月比で3.1%、前年比でも0.1%上昇しています。

物価の上昇は、とくに所得の低い世帯に大きな影響をおよぼします。生活苦になる可能性が高まるため、生活保護の申請件数が増えていくのです。

保護の受給自体は私たち国民の権利です。そのため、悪いことではありません。しかし、申請件数の増加から、現在の経済情勢がどのようになっており、どういった点が課題なのかは、考えていく必要があるでしょう。

次章では、生活保護の冬季加算について解説します。