生活保護の申請件数が増えてきています。これから秋冬に向けて季節が変わっていくなかで、暖房代や灯油代など、光熱費の支出増も考えられます。

しかし、生活保護には「冬季加算」と呼ばれる追加給付があります。生活保護には、なぜ冬季加算があるのでしょうか。そして、生活保護の現状はどのようになっているのでしょうか。この記事では、生活保護の申請件数や世帯内訳、冬季加算の概要について元公務員である筆者が解説します。

1. 【生活保護】申請件数と世帯内訳

厚生労働省の「被保護者調査」によれば、2025年6月の生活保護申請件数は2万897件で、前年同月と比べて4.0%の増加となっています。内訳は以下のとおりです。

  • 申請件数:2万897件(対前年同月比+4.0%)
  • 保護開始世帯数:1万8022件(対前年同月比+2.3%)
  • 保護廃止世帯数:1万8270件(対前年同月比+2.9%)

実際に保護を受けている世帯である被保護実世帯数は164万5202世帯です。前年同月と比べると5443世帯(0.3%)減少していますが、依然として多くの人が生活保護を受給しています。

保護を受けた世帯の内訳も見てみましょう。2025年6月時点で保護を受けた世帯数は、以下のようになっています。

高齢者世帯は90万世帯以上が保護を受けており、保護世帯の半分以上を占めています。生活保護を受給する世帯の多くが、高齢者世帯なのです。

これだけ保護申請件数が増えている理由はなんでしょうか。次章で解説します。