4. 老後、「公的年金」だけでやりくりできないシニア世帯は56.6%も…

厚生労働省の「2024年国民生活基礎調査」によると、公的年金や恩給だけで暮らしているシニア世帯は43.4%にとどまります。

残りの56.6%の世帯は年金以外の収入を必要としており、年金だけでは生活を維持できない世帯が半数以上を占めていることがわかります。

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

公的年金だけで生活費のすべてをまかなうのは難しいことがわかりました。

老後の家計を安定させるには、これまで積み立ててきた貯蓄を計画的に取り崩すだけでなく、企業年金や個人年金などの私的年金制度、さらには投資信託や株式から得られる分配金・配当金といった資産運用収益を組み合わせていく工夫が欠かせません。

それでもなお支出に対して収入が不足する場合には、シニア世代向けの再雇用制度や短時間労働で収入を得る、あるいは高齢者世帯を対象とした公的支援制度を上手に活用することが現実的な選択肢となるでしょう。

老後を安心して迎えるには、公的年金を軸としつつも「それ以外の収入の柱」をどう組み立てていくかが鍵となります。

参考資料

荻野 樹