AI技術が急速に発展し「ChatGPT」などのように生活の中にもAIが一般的になりました。AIによって生活がよりよくなる一方で、「AIに仕事を取られる」といった心配もいまだにあります。
では就職活動を控えるZ世代は、AIをどのように捉え、企業選びに反映させているのでしょうか。
今回は、Z世代のAIに対する意識と企業選びの基準を探ります。また記事の後半では、国別のAI活用力ランキングを紹介しながら考察していきます。
1. AIの存在感と就職活動…Z世代の意識と本音を深堀り!
株式会社ベースミーが実施した、企業に就職予定の大学生・大学院生300名に対する、就活観やAI活用に関する調査を見ていきましょう。
1.1 調査概要
- 調査方法:インターネット調査(QIQUMOを利用)
- 調査時期:2025年7月
- 有効回答:企業に就職予定の大学生・大学院生300名
1.2 自分の希望職種に対して約6割が「AIの影響あり」と回答
回答結果「AIによる業務自動化・代替リスク、自身の希望職種に将来どの程度影響すると思いますか?」
- ある程度影響を受ける:148
- わからない:53
- ほとんど影響を受けない:51
- 非常に影響を受ける:34
- 全く影響を受けない:14
「AIによる業務自動化・代替リスクを踏まえたとき、あなたが希望する職種が将来どの程度影響を受けると思いますか?」という質問に対して「ある程度影響を受ける」と回答した人は148人にのぼりました。
また「非常に影響を受ける」と回答した34人を合わせると、約6割にあたる182人が自身の希望する職種がAIの影響を受けると考えています。多くの学生が、AIの普及が将来の働き方への影響を認識しているのでしょう。
Z世代にとって、AIは便利なツールであると同時に「職を脅かすもの」でもあります。だからこそ、どんな業界や職種でもAIの存在を無視できないのが現状といえそうです。
次の章では就活生が実際の場面でAIの影響をどう捉えているか、気になる割合を見ていきましょう。
2. 不安はあれど、優先度は低め?AIによる「就活への影響」の捉え方
結論、AIが将来に影響を及ぼすと認識している一方、実際に就職活動でAIの影響を考慮している学生は少ないようです。
詳しい調査結果を見ていきましょう。
2.1 就活ではAIを考慮しないZ世代、3人に1人が「全く意識せず」
回答結果「就職活動においてAI・自動化の影響をどの程度考慮していますか?」
- 明確に意識して業界・職種を選んでいる:23
- 多少気にしているが、あんまり重視していない:98
- なんとなく不安に思っている程度:80
- 全く考慮していない:41
- 考えたことがない:58
AIが将来に影響を及ぼすと認識している一方で、実際に就職活動でAIの影響を考慮している学生は少ないようです。
「就職活動において、AI・自動化の影響をどの程度考慮していますか?」という質問に対して「明確に意識して業界・職種を選んでいる」と回答した学生はわずか23人。
一方で「全く考慮していない」41人、「考えたことがない」58人と、約3人に1人がAIを意識せずに就活をしている様子がわかります「AIの影響はわかるけど、今すぐは対応しきれない」。そんな本音を抱えて就活を進めるのが、若者世代の現実かもしれません。
次の章では、AIを考慮せずとも選ばれる「企業の基準」について確認していきましょう。
3. 73%が重視するのは「安定性」、AI時代も揺るがぬ就活軸とは
AIの影響を就職活動で考慮しない背景には、学生たちの企業選びの基準があるかもしれません。
「企業を選ぶ際、最も重視するポイントはどちらですか?」という質問に対しては、73%が「安定性」、27%が「成長性」と回答しました。
変化の激しいAI時代だからこそ、“挑戦”よりも“安定”を選びたい気持ちは自然なものかもしれません。Z世代には、成長性よりも「つぶれない安心感」が優先になっているといえるでしょう。
3.1 企業規模が安心材料? 優先順位は「大手企業」
回答結果「会社の規模や業種で選ぶとしたら、どれを優先的に検討したいですか?」
- 大手企業:138
- 中小企業:68
- スタートアップ・ベンチャー:33
- フリーランス:25
- 外資企業:19
- 独立起業:17
また「会社の規模や業種で選ぶとしたら、どれを優先的に検討したいですか?」という質問では「大手企業」が138人と最も多く、次いで「中小企業」が68人という結果でした。
多くの学生が成長性のある企業よりも、安定性や規模の大きさがある企業を選んでいるようです。
AIの影響も含め、今後起こる様々な変化を受け入れるためにも「安定志向」で体力のある企業を選ぼうとしているのかもしれませんね。
安定した企業を選ぶ一方で「個人としてどんな力を身につけるか」も重要なテーマです。就活生が安心できる企業を求める背景には、自分自身の武器を持ちたいという意識もあるでしょう。
会社選びに安定を重視しつつ、未来を見据えてスキルアップを考える学生も少なくありません。
次の章では、Z世代がAI時代を生き抜くために磨きたいと考える具体的なスキルに注目していきましょう。
4. 対人スキル、活用力…Z世代が「AI時代に身につけたいスキル」とは?
AIの発展を見据えてこの先に身につけたいスキルについて尋ねたところ、以下のような回答結果となりました。
4.1 「AIツールの活用」「語学力」「対人スキル」がランクイン
回答結果「AIの発展を見据え、この先に身につけたいスキルは?」(トップ3)
- AIツールの活用スキル:97
- 安定性重視の学生:71
- 成長性重視の学生:26
- 語学力:96
- 安定性重視の学生:66
- 成長性重視の学生:30
- コミュニケーション能力・対人スキル:95
- 安定性重視の学生:78
- 成長性重視の学生:17
結果として最も多かったのは「AIツールの活用スキル」97人。次いで「語学力」96人、「コミュニケーション能力・対人スキル」95人と続きました。
内訳をみると「AIツールの活用スキル」では安定性重視の学生71人、成長性重視の学生26人の計97人、「語学力」では安定性重視の学生66人、成長性重視の学生30人の計96人、「コミュニケーション能力・対人スキル」では安定性重視の学生78人、成長性重視の学生17人の計95人が票を入れています。
AIに代替されにくいのは、人や情報と向き合う力です。すなわち、AIと共存するための人間力を求められているといえるでしょう。
シンプルな対人スキルやグローバル化の流れで求められる語学力、そしてAIを使いこなすための活用スキルを身につけたいと考えているようです。
次の章では、グローバルな視点から日本のAI活用力と課題を見ていきましょう。
5. 国別AI活用ランキングにみる「日本のAI研究開発力や活用力」の課題
総務省が公開した、スタンフォード大学調査「AI活力ランキング上位10カ国」によると、日本は9位でした。
5.1 AI活力ランキング上位10カ国、日本は9位
- アメリカ合衆国(United States)
- 中華人民共和国(China)
- イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)(United Kingdom)
- インド共和国(India)
- アラブ首長国連邦(United Arab Emirates)
- フランス共和国(France)
- 大韓民国(South Korea)
- ドイツ連邦共和国(Germany)
- 日本国(Japan)
- シンガポール共和国(Singapore)
AI関連の様々な要素を分析して各国のAIによる活力を評価されたランキングでは、日本は9位。研究開発(R&D)や「責任あるAI(Responsible AI)」の分野で米国や中国などに遅れを取っているのが現状です。
日本がAI分野で出遅れている事実は、私たちZ世代にとっても無関係ではありません。AIを「どう使うか」について考えるだけでなく、AI社会を「どう作るか」という思考も重要性を増していくことでしょう。
日本がAI分野で国際的な競争力を高めていくためには、研究開発へのさらなる投資や、AIを活用するためのインフラ整備、そして人材育成が不可欠と言えるでしょう。
6. まとめにかえて
就活生はAIの影響を認識しているものの、就活ではAIの影響をそこまで考慮していないことがわかります。
企業選びは「安定志向」であり、AIやその他さまざまな社会環境の変化にも耐えられる企業に入社したいと考えていることがうかがえます。
さらに「対人スキル」や「AI活用力」を身に着けたいスキルとしていることからも、AIに負けない自分の強みを作り、AIを活用していきたいとも考えているようです。
日本はAIの研究開発や活用では必ずしもリードしているとは言えない状態。「AIに仕事を取られる」とマイナスなことばかりを考えるのではなく、これからAIをどのように活用していくのか、Z世代のような若い世代がAIと共存する道を考えていく必要がありますね。





