定年へのカウントダウンが始まると、誰しも「老後の生活費は足りるのか?」など、漠然とした不安に襲われることも少なくありません。

お金を貯められる期間が限られているので、将来の生活に対する不安が募るのも当然です。

とはいえ、何ごとも気づいたときから始めれば、決して遅いというわけではありません。

いろいろな選択肢を検討して、老後の資産形成へ一歩踏み出してみましょう。

そこで今回の記事では、老後の資産形成の選択肢のひとつとして、あらためて「新NISA」について詳しく解説します。

また、記事の後半では、毎月5万円を50歳から65歳までコツコツ積み立てた場合、いくら貯められるのかシミュレーションしています。老後の資産形成の参考にしていただければ幸いです。

1. 今さら聞けない「NISAってどんな制度?」

NISAとは、NISA口座(非課税口座)を通じて投資信託・ETF・株式などに投資をすると、運用益が非課税になる「少額投資非課税制度」のことです。

日本では、最初に一般NISAが2014年にスタートし、2016年にジュニアNISA、2018年からはつみたてNISAが開始されました。2024年からは今までの制度を進化させた「新NISA」がスタートしています。

NISAは運用益が非課税になるのが最大のポイントで、国民の安定的な資産形成を支援する制度として導入されたものです。

ただし、旧NISA制度は非課税期間に期限があったり、投資額が少なかったりして、使い勝手がよい制度ではありませんでした。

新NISAは、より多くの方が利用しやすいように、従来のNISA制度をアップデートさせた新制度です。

自由度が格段に高まったことで、さまざまなニーズに対応できる制度に生まれ変わっています。

1.1 【新NISAの主なポイント】

NISAのポイントをチェック

出所:金融庁「NISAを知る」

  • 非課税保有期間の無制限化、口座開設期間の恒久化:従来は期限付きだった非課税期間が新NISAでは無期限に、また口座開設期間が恒久化されたことで、いくつになっても投資が可能になりました。30年や40年の超長期投資も可能。
  • 年間投資枠、非課税保有限度額の拡大:「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能になり、年間360万円まで投資が可能。非課税保有限度額も最大1800万円と、以前より大幅に拡大しています。また、枠は再利用が可能で、売買がしやすくなりました。

ただし、NISAは長期投資を支援するための制度なので、リスクが高い金融商品には投資をすることができません。また、つみたて投資枠で購入できる投資信託・ETFは銘柄が指定されています。

とはいえ、以前のNISAよりも制度の柔軟性は格段に増しています。投資初心者でも利用しやすく、長期的に安定した資産形成が目指せる制度に整えられたことは間違いありません。