日本では、老後をひとりで暮らす高齢者が年々増加しています。
ひとり暮らしの老後には、生活資金の確保や終活の準備など、あらかじめ考えておくべき課題が数多くありますが、中でも、老後資金や終活を進めるうえで基盤となるのが「家計の収支状況の把握」です。
本記事では、おひとりさまシニア世帯における「家計の内訳」や「貯蓄実態」について紹介します。
最新データをもとに65歳以上のおひとりさま世帯が増えている現状や、その背景にも触れているので、あわせて参考にしてください。
1. 【最新データからわかる】65歳以上の「おひとりさま世帯」の割合
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によれば、65歳以上の単身世帯は全体の32.7%を占めていることが明らかになりました。
【2024年:65歳以上の者がいる世帯の割合】
- 単独(おひとりさま)世帯:32.7%
- 夫婦のみの世帯:31.8%
- 親と未婚の子のみの世帯:20.4%
- 三世代世帯:6.3%
- その他の世帯:8.8%
1986年には13.1%だったおひとりさま世帯の割合は、2024年には32.7%と、倍以上に拡大しています。
このように単身で老後を迎える人が増えている背景には、生涯未婚を選ぶ人の増加や、熟年離婚の増加といった社会的な変化が影響していると考えられます。
次章では、シニアのおひとりさま世帯の割合を男女別で確認していきます。
1.1 シニアのおひとりさま世帯「男性と女性」どちらが多い?
厚生労働省の同資料によれば、おひとりさまシニア世帯のうち男性は36.0%、女性は64.0%を占めており、女性のおひとりさま世帯が多い傾向が見られます。
このような背景には、おひとりさまとして暮らしやすくなった現代の社会環境に加え、男女の平均寿命に差があることも大きな要因といえるでしょう。
厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」によると、男性よりも女性のほうが平均寿命が長く、男性が先に他界するケースが多く、結果的に「女性の単身高齢者世帯」が多くなる傾向があるのでしょう。
このことから、たとえ夫婦で暮らしていても、将来的に単身で老後を過ごす可能性は十分にあり得るとうかがえます。
上記をふまえ、家族構成にかかわらず、「ひとり暮らしになった場合の家計管理」について考えておくことが重要です。
次章では、65歳以上の単身世帯における家計収支の実態を見ていきましょう。
2. 【実は毎月赤字】65歳以上・おひとりさま無職世帯の「家計収支」は?
総務省が発表した「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における家計収支は以下のとおりです。
【65歳以上 単身無職世帯】
- 実収入:13万4116円
- 可処分所得(手取り収入):12万1469円
- 消費支出:14万9286円
- 毎月の赤字額:2万7817円
上記の平均的な収支結果から、おひとりさま世帯では毎月約3万円の赤字が生じていることがわかります。
こうした状況は特別なケースではなく、厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」でも、年金だけで生活している人の割合は43.4%にとどまっています。
つまり、多くの人が年金以外の収入に頼らざるを得ない現実が浮き彫りになっているのです。
仮にこの赤字が続いた場合、25年間で約900万円の資金が不足する計算になります。
さらに、これはあくまで日々の生活費に対する不足分にすぎず、実際には医療費や介護費、葬儀にかかる費用など、追加の支出が発生することも十分に考えられます。
このようなことからも、将来おひとりさまとして老後を迎えることを想定し、現役時代から老後資金をしっかりと準備しておくことが重要です。
では実際に、老後を迎えている年代である60〜70歳代のおひとりさまは、どのくらいの貯蓄を保有しているのでしょうか。
3. 【60歳代・70歳代】おひとりさまシニア世帯の「貯蓄事情」を確認
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、60歳代〜70歳代・単身世帯の「平均貯蓄額」は下記のとおりです。
- 60歳代:平均値1679万円・中央値350万円
- 70歳代:平均値1634万円・中央値475万円
60歳代・70歳代の貯蓄額を見ると、平均ではどちらも1500万円前後となっており、一見すると多くの人が老後資金をしっかり準備できているようにも思えます。
しかし、平均値は一部の高額な貯蓄によって数値が引き上げられるため、実態を正確に反映しているとは限りません。
その点、「中央値」は全体の中間に位置する数値であり、より実情に近い指標とされています。
実際に、60歳代・70歳代ともに中央値は500万円未満であり、老後の赤字を補うには不十分な水準といえるでしょう。
また、平均値と中央値の差が1000万円以上あることからも、貯蓄の二極化が進んでいる現状がうかがえます。
次章にて、おひとりさま世帯の60歳代・70歳代の貯蓄割合を確認していきましょう。
3.1 【60歳代】おひとりさまシニア世帯の「貯蓄割合」は?
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、60歳代におけるおひとりさま世帯の貯蓄割合は下記の結果となりました。
- 金融資産非保有:27.7%
- 100万円未満:8.9%
- 100~200万円未満:5.6%
- 200~300万円未満:3%
- 300~400万円未満:3.3%
- 400~500万円未満:2.8%
- 500~700万円未満:5.8%
- 700~1000万円未満:5.1%
- 1000~1500万円未満:8.2%
- 1500~2000万円未満:2.6%
- 2000~3000万円未満:6.1%
- 3000万円以上:16.8%
- 無回答:4.2%
3.2 【70歳代】おひとりさまシニア世帯の「貯蓄割合」は?
金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」によると、70歳代におけるおひとりさま世帯の貯蓄割合は下記の結果となりました。
- 金融資産非保有:27.0%
- 100万円未満:5.1%
- 100~200万円未満:5.7%
- 200~300万円未満:4.9%
- 300~400万円未満:3.9%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:7.3%
- 700~1000万円未満:5.9%
- 1000~1500万円未満:8.9%
- 1500~2000万円未満:4.7%
- 2000~3000万円未満:6.1%
- 3000万円以上:15.9%
- 無回答:2.4%
60歳代・70歳代のいずれにおいても、最も多いのは「貯蓄ゼロ(金融資産を保有していない)」世帯であり、貯蓄が2000万円以上ある世帯の割合を上回っています。
おひとりさま世帯のシニアでは、約3割の世帯が貯蓄なしの状態で老後を過ごしているという実態からも、できるだけ早い段階で老後資金の準備に取り組むことの重要性がうかがえます。
4. 「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で老後の年金額の確認をしよう
本記事では、おひとりさまシニア世帯における「家計の内訳」や「貯蓄実態」について紹介していきました。
現代の社会環境では、おひとりさまとしての暮らしが受け入れられやすくなり、「老後をひとりで過ごす」という選択肢が一般的になりつつあります。
また、男女の平均寿命に差があることから、結婚している人であっても、結果的に老後を単身で迎える可能性は十分にあります。
こうした時代背景を踏まえると、誰にとっても老後をおひとりさまとして過ごす可能性があるといえ、早い段階からの備えが欠かせません。
その第一歩として、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」を利用し、将来受け取れる年金額を把握しておくと安心です。
参考資料
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
和田 直子