「人生100年時代」といわれる現代、定年後もアクティブに活動し、セカンドライフを謳歌する「シニア世代」は増えています。しかし、老後のお金に対する不安を抱えている方も少なくないでしょう。総務省統計局の家計調査によると、65歳以上の無職夫婦世帯の家計は平均で毎月約3.4万円の赤字というデータが出ています。この記事では、公的年金や貯蓄に関する最新の統計データをひも解きながら、老後資金の「リアル」と今からできる対策について解説します。
1. 【シニア夫婦】生活費の平均はどれくらい？
総務省統計局の「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、標準的な65歳以上無職夫婦世帯の家計収支データを見ていきます。
1.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支（2024年）
毎月の実収入：25万2818円
■うち社会保障給付：22万5182円
毎月の支出：28万6877円
■うち消費支出：25万6521円
- 食料：7万6352円
- 住居：1万6432円
- 光熱・水道：2万1919円
- 家具・家事用品：1万2265円
- 被服及び履物：5590円
- 保健医療：1万8383円
- 交通・通信：2万7768円
- 教育：0円
- 教養娯楽：2万5377円
- その他の消費支出：5万2433円
- うち諸雑費：2万2125円
- うち交際費：2万3888円
- うち仕送り金：1040円
■うち非消費支出：3万356円
- 直接税：1万1162円
- 社会保険料：1万9171円
毎月の家計収支
- 3万4058円の赤字
このモデル世帯の場合、ひと月の収入25万2818円に対し、支出は28万6877円。その結果、ひと月で3万4058円の赤字となっています。
公的年金などの社会保障給付は22万5182円で、収入全体の約9割を占めます。
支出の内訳を見ると、消費支出（生活費）は25万6521円、非消費支出（税金や社会保険料）は3万356円です。
この赤字分は、主に貯蓄の取り崩しなどでカバーしていく必要があります。ただし上記のデータはあくまでも平均値。以下の点にも留意が必要でしょう。
- 住居費が低い
- 高齢者世帯は持ち家率が高いため、住居費が1万6432円と低めに算出されています。賃貸住宅に住む場合は、家賃分を上乗せして考える必要があります。
- 介護費用が含まれていない
- 在宅介護や施設利用、介護リフォームなどが必要になった場合には別途支出が発生します。家計を圧迫したり、貯蓄から捻出したりする必要が出てくる可能性があります。
