直近の年金支給日は8月15日ですが、年金を十分に受け取っている人は決して多くありません。
厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、会社員や公務員などが受給している厚生年金と国民年金の平均額は約14万円となっています。
一方、フリーランスや専業主婦など、国民年金のみを受給している人の平均額は約5万円にとどまります。
これはあくまで平均の数字ですが、多くの人にとって、老後の収入は現役時代に比べて大きく下がる傾向にあります。
こうした厳しい状況にある低年金世帯を支えるため、政府は「年金生活者支援給付金」制度を設け、経済的支援を行っています。
本記事では、この「年金生活者支援給付金」の対象者や、2025年度の支給基準額について紹介します。
1. 【年金生活者支援給付金】年金に毎回上乗せ!もらえるのはどんな人?
年金生活者支援給付金は、年金やその他の収入が限られており、経済的に困難な状況にある高齢者世帯を対象に設けられた支援制度です。
この給付金を受け取るには、「老齢基礎年金(国民年金)」「障害年金」「遺族年金」のいずれかを受給していることが前提となっており、加えて定められた複数の要件をすべて満たす必要があります。
次章にて、各年金生活者支援給付金の要件について確認していきましょう。
1.1 「老齢年金生活者支援給付金」をもらえるのはどんな人?
老齢年金生活者支援給付金を受け取れる人は、以下の要件を全て満たす人です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下である
老齢年金生活者支援給付金の支給判定にあたっては、障害年金や遺族年金などの非課税収入は収入額に含まれません。
また、「給付基準をわずかに超えたことで対象外となる人」と「ギリギリで対象となった人」との間に不公平が生じないよう、一定の範囲内で所得がある方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
この補足的給付は、前年の年金収入とその他の所得を合わせた金額が、1956年(昭和31年)4月2日以降生まれの方で78万9300円を超え88万9300円以下、または1956年4月1日以前生まれの方で78万7700円を超え88万7700円以下の場合に支給されます。
1.2 「障害年金生活者支援給付金」をもらえるのはどんな人?
障害年金生活者支援給付金を受け取れる人は、以下の要件を全て満たす人です。
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得が472万1000円以下である
障害年金などの非課税収入は、給付金の支給要件を判断する際の所得には含まれません。
さらに、扶養親族等の人数に応じて、給付額が加算される仕組みになっています。
1.3 「遺族年金生活者支援給付金」をもらえるのはどんな人?
遺族年金生活者支援給付金を受け取れる人は、以下の要件を全て満たす人です。
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得が472万1000円以下である
障害年金と同様に、遺族年金などの非課税収入は、「年金生活者支援給付金」の支給要件を判断する際に所得としてカウントされません。
また、扶養親族の人数に応じて支給額が加算されるようになっています。
次章では、2025年度の「年金生活者支援給付金」の支給基準額について紹介します。