2. 特例的な繰下げみなし増額制度とは
年金の繰下げを希望して待機いたものの、「65歳からの本来の年金」をさかのぼって一括で受け取ることも可能です。
70歳以後にこの制度を利用する場合、請求の5年前の日時点で繰下げ受給の申出があったものとみなされ、増額された年金を一括で受け取ることとなります。
これを「特例的な繰下げみなし増額制度」といいます。
2.1 特例的な繰下げみなし増額制度が生まれた背景
特例的な繰下げみなし増額制度は2023年4月に導入されました。
老齢年金の繰下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられ、年金の受給開始時期を75歳まで自由に選択できるようになったことを受け、70歳以降も安心して繰下げ待機できるよう制度改正されたものです。
これにより、70歳到達後に繰下げ申出をせずにさかのぼって本来の年金を受け取ることを選択した場合でも、請求の5年前の日に繰下げ申出したものとみなし、増額された年金の5年間分を一括して受け取ることができるようになったのです。
時効で消滅する可能性があった年金の一部(最大5年分)が、増額された形で一括して受け取れるようになったといえます。