4. 老後への備えは早いほうがいい
老後への備えは早ければ早いほうがいいでしょう。一時期老後2000万円問題もありましたが、金額が多い分、時間をかけて備えていきたいものです。
実際に、どれくらいの差が出るのかシミュレーションしてみましょう。
4.1 55歳から2000万円貯めるのは非現実的?
55歳から65歳までの10年間で2000万円を貯めようと思うと、1年間で200万円貯める必要があります。1カ月で約17万円貯めるのを10年間続けなければなりません。
不可能ではないご家庭もあると思いますが、ハードルは高いでしょう。
4.2 40歳から2000万円貯めるのは十分可能
では、40歳から65歳までの25年間で2000万円を貯める場合はどうでしょうか。
こちらは利回りを考慮しない場合、1年間で80万円貯めると達成できます。1カ月にすると約7万円です。10年間と比べると月の金額が少なくなりますね。
上記は預貯金のみの場合ですが、一部に積立投資などの資産運用を取り入れることで、リスクは伴いますが効率よく貯められる場合もあります。資産運用についてはリスクがあり、基本的に長期間積立することになりますのでしっかり調べるとよいでしょう。
先取り貯蓄をする、また生活費を見直すなど、できることから取り組んでみてください。
5. 「老後のふつうの暮らし」から自分について考えよう
今回は平均的な老後のお金事情をみてきました。
平均から「自分」に落とし込み、それぞれ金額や対策を考えるとよいでしょう。
たとえば年金額は国民年金と厚生年金で大きく差があったように、自身の加入状況により将来の受給額が変わります。自身の年金見込み額を確認するとともに、現役時代から将来の受給額を増やす方法を考えるのも一つです。
また、貯蓄については平均値が2509万円、中央値で1658万円。ただ金額ごとにみるとまとまった貯蓄を保有していない世帯も少なくありません。自身の老後に向けた貯蓄の方法や金額などについても考えてみてください。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」
宮野 茉莉子