老後資金の重要性を感じる人は多いですが、「自分はいつまでに、何を、いくら備える必要があるのか」に対しては漠然とした不安を感じるのみという方も少なくないでしょう。
人によっては数十年単位で先のことであるため、具体的に考えにくい「老後」。最近では長く働き続ける人も増えているため、働き続ければいいと考える方もいるかもしれません。
とはいえ、働き続けたくとも、年齢を重ねる中で働けなくなる状況が出てくる可能性もあります。「自分で働いて得る収入」である仕事の収入以外にも、老後は年金収入、また人生100年時代においては「お金に働いてもらう収入」である資産運用なども選択肢に入れたいところです。
今回は65歳以上の夫婦世帯のお金事情をみていきます。「老後のふつうの暮らし」を見た後でご自身について考えて見ましょう。
1. 【平均】健康寿命と平均寿命の差は約10年
まずは老後について考える上で、平均的な健康寿命と平均寿命について考えておきましょう。
厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」によると、日本の平均寿命は以下の通り(2025年7月25日公表)。
1.1 【最新】日本の平均寿命
- 男性81.09年
- 女性87.13年
男性は81歳、女性は87歳です。
ちなみに厚⽣労働省健康・⽣活衛⽣局健康課「健康寿命の令和4年値について」によると、健康寿命(※日常生活に制限がない期間の平均)は以下の通り。
1.2 日本の健康寿命
- 男性72.57歳
- 女性75.45歳
健康寿命と平均寿命を比べた場合、その差は約10年となっています。
こちらはあくまで平均であり、実際には個人差があるもの。ただ平均的な健康寿命とその概念、また平均寿命について把握しておき、老後に備えるとよいでしょう。
2. 65歳以上の無職夫婦世帯「月の生活費」はいくらか
年齢を重ねると生活費は減少していくという話を耳にすることがあります。
しかし、実際はどうなのか、まずは老後の生活費について、総務省統計局が公開している「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」を参考に確認していきましょう。
65歳以上の夫婦のみ無職世帯の1カ月の生活費は28万6877円でした。内訳は以下のとおりです。
- 消費支出:25万6521円
- 非消費支出:3万356円
さらに、消費支出の内訳は以下のようになっています。
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育費:0円
- 教育娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円(内訳:諸経費2万2125円・交際費2万3888円・仕送り金1040円)
毎月28万円の支出が多いと考えるかどうかは人によりますが、1点注意点があります。
それは住居費です。今回の調査で住居費は1万6432円となっていますが、もし賃貸に住んでいる場合、1万円台で住める場所はそれほど多くないでしょう。
持ち家でローンが終わっている場合はいいかもしれませんが、賃貸に住み続けることを考えている場合は住居費を多めに見積もっておく必要がありそうです。
また、毎月3万4058円の赤字がある点にも留意しておいたほうがよいでしょう。住居費がさらにかかる場合なら、この赤字額はより大きくなります。
何も対策しないまま65歳を迎えると、生活費がいずれ足りなくなってしまうかもしれません。
そこで、貯蓄や年金受給額もチェックしておきましょう。