3. 【65歳以上の無職世帯】2019年~2024年にかけて《資産の内訳》はどう変化した?
65歳以上の無職夫婦世帯の貯蓄額は増加傾向が見られました。では、その資産の内訳はどのように変化しているのでしょうか。
ここでは、2019年と2024年のデータを比較しながら、資産構成の変化にも目を向けていきましょう。
通貨性預貯金
※主に普通預金
- 金額:543万円→801万円
- 貯蓄現在高に占める割合:24.5%→31.3%
定期性預貯金
※定額貯金、積立貯金、定期預金、定期積金など
- 金額:941万円→859万円
- 貯蓄現在高に占める割合:42.4%→33.6%
生命保険など
※民間保険会社が販売する積立型の生命保険、損害保険(積立型)、農業協同組合などが取り扱う各種共済、郵便局で取り扱う簡易保険(保険商品、年金商品)など。なお、掛け捨ての生命保険は含まれない。
- 金額:369万円→394万円
- 貯蓄現在高に占める割合:16.6%→15.4%
有価証券
※株式や有価証券など
- 金額:357万円→501万円
- 貯蓄現在高に占める割合:16.1%→19.6%
金融機関外
※社内預金、勤め先の共済組合への預金など
- 金額:8万円→6万円
- 貯蓄現在高に占める割合:0.4%→0.2%
まず、2019年と2024年のいずれの年においても、貯蓄全体の約6割が比較的リスクの低い預貯金として保有されています。シニア層の安全志向が表れた結果と言えそうです。
一方で、その内訳には変化が見られます。この5年間で最も増加したのは、+258万円増となった通貨性預貯金。いつでも引き出し可能な流動性の高い資金です。
その反対に、最も減少したのは定期性預貯金の▲82万円減です。超低金利が続くなか、資金を拘束する定期預金よりも、流動性の高い預貯金を選ぶ傾向が強まっていることが推測できます。
一方で、投資信託や株式などの有価証券が+144万円と増加傾向にあることもポイントです。
超低金利が続き、預貯金だけでは資産が増えにくいなか、積極的に資産運用に取り組みむシニア世帯が一定数存在することが考えられるでしょう。
65歳以上の無職世帯にとって、貯蓄は暮らしの安心感に直結するものです。
ただし上記でご紹介した貯蓄データはあくまでも平均額。世帯の貯蓄事情は、定年退職金の有無や金額、さらには相続などにより大きく左右されます。
同様に、公的年金の受給額にも個人差があります。ご自身の将来の見込み額を「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認することは、老後に向けた資金計画を立てる第一歩となるでしょう。