4. 年金額に差が出る4つのポイント
同じ年齢・性別でも、年金の受給額には違いがあります。
その大きな理由は、年金制度が一律の定額給付ではなく、おもに2階建て部分である厚生年金が、働き方や加入状況に応じて支給額が変わる「報酬比例」の仕組みになっているからです。
自営業者として長年国民年金のみに加入していた人、厚生年金に加入していたが途中で会社を辞めた方、長く勤めて厚生年金に加入していた方では、当然ながら受給額に大きな差が出ます。
また次の要因も関係しています。
- 保険料の納付期間
- 受給開始年齢の選択
- 加給年金の有無 など
とくに、国民年金においては保険料の未納や免除が多いと、老齢基礎年金の受給額が減額されることになります。一方で、20歳から60歳までの40年間フルに保険料を納めた場合には、満額の年金を受け取れます。
近年では、パートやアルバイトなど短時間労働者であっても、一定の条件を満たせば厚生年金に加入できる制度に変わってきています。これにより、パート勤務の主婦なども、以前より年金受給額を増やせる可能性があります。
また、受給開始年齢も年金額に差が出やすいポイントです。原則として老齢年金は65歳から支給されますが、60~64歳の間に繰り上げたり、逆に66歳以降に繰り下げたりすることで受給額が変わります。
繰り上げると1ヶ月あたり0.4%ずつ減額され、繰り下げると1ヶ月あたり0.7%ずつ増額されます。最長75歳まで繰り下げた場合は、最大で84%増(0.7%×120ヶ月)という大幅な増額も可能になります。
さらに、加給年金の有無も受給額に影響します。主に65歳以上の厚生年金受給者で、年下の配偶者や子がいる場合に支給され、受給者本人の年金額に上乗せされます。したがって、対象となるかどうかで受給額に差が生じます。
5. 自分の年金額を正確に知り、備えの第一歩に
年金額は、人生を通じたさまざまな選択によって変わってきます。年金の平均額も参考にしつつ、自身の選択によって、年金額や老後の資産額を変えられる点は理解しておくことが大切です。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、これまでの納付実績や受給予想額を確認し、将来に向けてどのような準備ができるかを考えておきましょう。
老後の資金に不安がある場合は、上記以外の方法に、iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(確定拠出年金)、あるいはNISAの活用があります。
投資によるリスクはありますが、年金額や保有資産を増やせる可能性があるので、選択肢のひとつとして検討してみてもよいでしょう。