7月18日、総務省が公表した「2020年基準 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)6月分」によると、消費者物価指数の総合指数は、前年の同月と比べ3.3%上昇していることがわかりました。

皆さんも、日常で物価上昇を感じる場面が多々あるのではないでしょうか。食料品や日用品を始め、これまでと同じ金額では済まないことが増えていると筆者も感じています。

年金生活になると、現役時代と比べて収入が少なくなる傾向にあります。物価高のなかで、生活費を節約したいという方もいるのではないでしょうか。

本記事では、総務省や厚生労働省などの資料を参考に、60歳代のお金事情について解説します。

「みんなは生活費どのくらいかかっているんだろう?」「どれくらい貯蓄があるんだろう?」と気になる方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

1. 【65歳以上無職夫婦世帯】《シニア世代の生活費》はいくらかかる?

総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な家計収支を見ていきます。

1.1 【家計収支】65歳以上の夫婦のみの無職世帯(2024年)

収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円

支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590円
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
    • うち諸雑費:2万2125円
    • うち交際費:2万3888円
    • うち仕送り金:1040円

※諸雑費以下はその他の主な消費支出の内訳

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

家計収支

  • ひと月の赤字:3万4058円
  • エンゲル係数:29.8%
  • 平均消費性向:115.3%

この夫婦世帯は、総収入25万2818円に対して総支出が28万6877円と上回っており、毎月3万4058円の赤字です。

公的年金などの社会保障給付を主な収入としており、公的年金で22万5182円と収入の約9割を占めていますが、可処分所得だけでは生活費を賄えていません。

シニア世代は収入が少なくなる傾向にあるため、エンゲル係数が高くなりやすく、このグラフも29.8%と高めになっています。また、所得のうちどれくらい消費しているかを示す平均消費性向は115.3%と、収入以上の消費をしていることが分かります。

赤字になっている分は、貯蓄を取り崩して賄っていると考えられます。