2. 狭小戸建が増加した4つの理由

狭小戸建が増加する背景には、第一に不動産価格の高騰があります。また、現代の家族構成や住宅ニーズの変化も関係しています。ここでは、狭小戸建が都市部で増加している背景として考えられる4つの理由を解説します。

2.1 不動産価格の高騰

不動産価格の高騰により、広い土地を取得するハードルが高くなっているのが、第一の要因と考えられます。首都圏の不動産価格は年々高騰しています。

首都圏の不動産価格指数

首都圏の不動産価格指数

出所:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」をもとに筆者作成。2019年末の数値=100として指数化。

不動産価格が高騰すれば、その地域で広い住宅を購入するハードルは高くなるため、相対的に面積の狭い住宅を選択する方が増えると想定されます。

2.2 住宅の資産性を増加

国土交通省「令和5年度 住宅市場動向調査報告書」によると「将来、売却した場合の価格が期待できる」ことを住宅選択の決め手としている方が過去3年で増加傾向です。

注文住宅において住宅の選択理由「将来、売却した場合の価格が期待できるから」を選んだ人の割合

注文住宅において住宅の選択理由「将来、売却した場合の価格が期待できるから」を選んだ人の割合

出所:e-Stat「住宅市場動向調査」をもとに筆者作成

不動産価格が高騰する中で、不動産の資産価値を重視する方も増えていると考えられます。資産価値を重視すれば、将来の発展が期待できる都心部の高地価・高価格な物件に目が行くのは必然です。

高騰する中で都心部の物件を狙うとなれば、広い家を取得するのは難しくなるでしょう。結果として、狭小でも都心部で購入可能な物件を選んでいる方が増えていると考えられます。