4. どれくらい貯蓄しておけば安心?
では、実際どれくらい貯蓄しておけば安心なのでしょうか。
先ほど70歳代の家計収支をチェックしたときに年間20〜30万円程度の赤字が生じる恐れがあることがわかったので、今回は以下の2パターンでシミュレーションしてみます。
4.1 赤字が年間20万円の場合
仮に65歳で仕事をリタイアして年金生活に入る場合、先ほどの平均寿命の間をとって84歳までで計算すると「19年間×20万円=380万円」の赤字が発生します。
4.2 赤字が年間30万円の場合
同じ条件で赤字が年間30万円だった場合は、「19年間×30万円=570万円」のマイナスが生じます。
赤字が年20~30万円の場合、生活費の補填だけで380~570万円が必要です。ほかに旅行や趣味にレジャー、リフォーム、車や家電の買い替え、病気、介護などを考えると、先ほどの中央値の800万円でも不安という方は少なくないでしょう。
平均の1923万円を目指せればいいですが、それには早くから工夫を取り入れて貯蓄していく必要があるでしょう。
5. 老後の生活を具体的に考えよう
今回は平均を紹介していますが、実際には個人差がありますから、自身の老後生活について具体的に考えましょう。
生活費について年金収入はいくらなのか、その見込み額はねんきんネットで調べることができます。
支出はいくらになるのか、家計収支は赤字か・黒字か、赤字ならいくらになるかを計算することで、老後資金について考えやすくなるでしょう。
先ほど見たとおり、「老後資金だけで」まとまった貯蓄をするのは簡単ではありません。計画性を持ったり、工夫をしたりすることで将来の生活の苦しさを減らせる可能性もあります。
老後の生活費の目安を出すほか、「何で、いくら、どれくらいの期間」で老後資金に備えていくかについても具体的に考えるとよいでしょう。これを機に情報収集をしてみてくださいね。
参考資料
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
宮野 茉莉子