2. 繰上げ受給はデメリットが多い?
繰上げ受給は年金を早く受給できるのがメリットですが、いくつかデメリットも存在します。主なデメリットは以下のとおりです。
繰上げ受給による減額は、生涯続きます。もし1年繰上げして年金を受給した場合、生涯4.8%減額された年金が支給されることになるのです。繰上げ申請は一度してしまうと変更や取り消しが効かないため、受給額が減ることで後悔する可能性があるでしょう。
また、繰上げ受給により障害年金を受けられなくなる場合があります。繰上げ請求前にケガや病気になった時点では障害が認められなかったものの、その後症状が悪化し障害状態とみなされる「事後重症」の場合、すでに繰上げ受給をしていると障害年金を請求できません。持病のある人は、繰上げ受給については慎重に判断する必要があります。
さらに、年金を繰上げ受給しても、加給年金は繰上げできません。加給年金とは、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人が65歳になり、生計を維持している配偶者や子どもがいるときに加算される年金です。繰上げ受給をして65歳以前から年金を受給していても、加給年金は65歳にならないと受給の対象になりません。
繰上げ受給をする際は、メリットとデメリットを比較しながら慎重に申請するかどうか判断する必要があるでしょう。
次章では、年金月額15万円の人が60歳で繰上げ受給した場合の受給額を解説します。