2. 国民年金と厚生年金、平均はいくら?
年金生活の実態をつかむためには、制度上のモデルケースだけでなく、実際に受け取っている人の平均支給額を知ることが大切です。
実際の平均年金額について、厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」に基づいた最新のデータを見ていきましょう。
2.1 国民年金(老齢基礎年金)の平均月額
- 全体平均:5万7584円
- 男性:5万9965円
- 女性:5万5777円
国民年金は自営業、学生、専業主婦(夫)などが中心に加入しており、満額を受け取るには40年間の保険料納付が必要です。未納期間や免除があると支給額が減るため、平均は満額より低くなります。
2.2 厚生年金(老齢厚生年金+基礎年金)の平均月額
- 全体平均:14万6429円
- 男性:16万6606円
- 女性:10万7200円
厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金制度で、年金額は収入と加入年数に比例します。男性の方が平均年収が高く、長く働いていたケースが多いため、女性との間に約6万円の差があります。
これらの平均額を見ると、「年金で生活できるか不安」という声が上がるのも無理はありません。
3. 受給開始は自分で選べる!「繰上げ・繰下げ受給」とは?
公的年金は原則として65歳から支給されますが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取る「繰上げ受給」、もしくは66歳以後、最大75歳まで遅らせる「繰下げ受給」が選べます。
受け取り時期を変えると、毎月の年金額も変わるため、老後生活に影響する重要な判断と言えるでしょう。
3.1 繰上げ受給
65歳よりも早く受け取る場合、早めた月数×0.4%分だけ受給額が減額されます。最大60か月(5年)繰り上げた場合、年金額は24%減額されます。減額率は一変わりません。
60~65歳までの収入の空白期間を埋められる反面、ひと月あたりの年金額が少ないので総受給額が少なくなる可能性があります。また、原則として、老齢基礎年金と老齢厚生年金は同時に繰上げ請求をする必要があります。