6.6 【知っておきたい】年金の引上げ率は物価上昇率に及ばない
最後に、年金の引上げ率の決め方について簡単に紹介します。
年金の引上げ率は、賃金変動率と物価変動率のうち低い方を基準として決まるため、物価上昇率を上回る引上げは行われません。
令和7年度の改定では、物価上昇率よりも過去3年間の賃金変動率の平均が低かったため、+2.3%が基準値となりました。
加えて、年金制度の持続を目的に「マクロ経済スライド」が適用されています。
これは、少子化による保険料負担者の減少や、長寿化による受給期間の延伸に対応するため、引上げ幅を抑える仕組みです。
結果として、物価上昇率が+2.7%であったのに対し、年金の引上げ率は+1.9%にとどまりました。
7. 最新の平均寿命は「男性81.09年」「女性87.13年」
平均余命とは、特定の年齢の人々が「あと何年生きられるか」を示す期待値です。
そして、私たちがしばしば使う「平均寿命」という言葉は、「(現時点での)0歳の平均余命」を指します。
2025年7月25日に厚生労働省が公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年でした。
また、平均寿命の長期的な推移を見ると、男女ともに着実に延びています。
- 昭和30年(1955年) 男63.60 女67.75 男女差4.15
- 昭和40年(1965年) 男67.74 女72.92 男女差5.18
- 昭和50年(1975年) 男71.73 女76.89 男女差5.16
- 昭和60年(1985年) 男74.78 女80.48 男女差5.70
- 平成7年(1995年) 男76.38 女82.85 男女差6.47
- 平成17年(2005年) 男78.56 女85.52 男女差6.96
- 平成27年(2015年) 男80.75 女86.99 男女差6.24
- 令和6年(2024年) 男81.09 女87.13 男女差6.03
長くなった老後を豊かに過ごすためには、現役時代からの計画的な貯蓄や資産形成、さらには公的年金制度への理解が大切となってくるでしょう。
8. どれくらいの「老後資金」が必要なのか確認しておきましょう
本記事では、シニア世代がどのぐらいの年金を受け取っているのか、生活費などのリアルな生活事情について解説してきました。
60歳以上の二人以上世帯において、貯蓄額が3000万円以上の世帯は全体の20.0%となっています。
しかし、65歳以上無職夫婦世帯の平均的な家計収支を見てみると、毎月約3万円の赤字となっており、老後生活に負担が生じていることがわかりました。
受給できる年金額や、老後必要な生活費は各ご家庭によって異なります。
ご自身の年金情報や資産全体のバランスを把握したうえで、将来に向けてどれくらいの老後資金が必要なのか確認しておくことが大切です。