近年の物価高に加え、税金や社会保険料の負担増が続くなか、「年金だけで老後を暮らしていけるのか」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省の「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、収入源が「公的年金・恩給のみ」の世帯は全体の41.7%となっています。
つまり、約4割の世帯が年金だけで生活している一方、多くの世帯は年金以外の収入源を確保しているのが実態です。
では、実際に年金を受給している60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上の方々は、毎月どのくらい年金を受け取っているのでしょうか。
本記事では、最新データをもとに1歳刻みの平均年金月額を紹介するとともに、年金を受け取るために必要な手続きについてもわかりやすく解説します。
老後の暮らしに備えるためにも、現状を正しく把握し、今できる準備を進めていきましょう。
1. 日本の公的年金制度は「2階建て構造」
日本の公的年金制度は、以下のような「2階建て構造」になっています。
1.1 【第1階部分:国民年金(基礎年金)】
- 対象:20歳以上60歳未満の全国民
- 保険料:2025年度は月額1万7510円(一律)
- 40年間保険料を納めた場合、満額は月6万9308円(2025年度基準)
1.2 【第2階部分:厚生年金】
- 対象:会社員、公務員など
- 保険料と年金額:収入と加入期間に応じて変動(個人差あり)
- 将来的には「厚生年金」と「国民年金」の両方を受給
さらに、公的年金に上乗せできる仕組みとして、以下のような「私的年金制度」も利用可能です。
- 企業年金
- iDeCo(個人型確定拠出年金) など
2. 【国民年金と厚生年金】6月支給分から受給額が1.9%アップ
2025年度の年金額は、2024年度と比べて1.9%の引き上げとなりました。
増額されたのは2025年4月分からで、実際に増額分が反映されたのは6月13日の支給分(4月分と5月分の2ヵ月分が支給)からです。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額・1人分)):6万9308円(+1308円)
- 厚生年金(夫婦2人分):23万2784円(+4412円)
※昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金の満額は月額6万9108円(対前年度比+1300円)
※厚生年金は「男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)」で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
モデルケースの増額分を年額で換算すると、国民年金(満額)は1万5696円の増加、厚生年金(夫婦2人分)は5万2944円の増加となります。
ただし、実際の年金支給額は、加入期間や現役時代の収入によって大きく異なるため、個人差が生じる点には注意が必要です。
では、実際に年金を受給している60歳から90歳以上の方々は、平均でどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。
次章では、60歳から90歳以上までの平均年金月額を1歳刻みで詳しく見ていきます。