老後の生活設計において、年金受給額の把握は重要です。令和5年度のデータによると、国民年金は月額約4~6万円、厚生年金は月額約14~16万円が平均的な受給額となっています。
年金だけでは生活費が不足するため、「年金の上乗せ」として毎月分配型投資信託を検討する方も少なくありません。しかし、毎月分配型投資信託には大きな落とし穴がある点を押さえておきましょう。
1. 国民年金の平均受給額
まずは公的年金制度の1階部分にあたる、国民年金の平均受給額から見ていきましょう。
1.1 60歳代
- 60歳:4万3638円
- 61歳:4万4663円
- 62歳:4万3477円
- 63歳:4万5035円
- 64歳:4万6053円
- 65歳:5万9599円
- 66歳:5万9510円
- 67歳:5万9475円
- 68歳:5万9194円
- 69歳:5万8972円
1.2 70歳代
- 70歳:5万8956円
- 71歳:5万8569円
- 72歳:5万8429円
- 73歳:5万8220円
- 74歳:5万8070円
- 75歳:5万7973円
- 76歳:5万7774円
- 77歳:5万7561円
- 78歳:5万7119円
- 79歳:5万7078円
1.3 80歳代
- 80歳:5万6736円
- 81歳:5万6487円
- 82歳:5万6351円
- 83歳:5万8112円
- 84歳:5万7879円
- 85歳:5万7693円
- 86歳:5万7685円
- 87歳:5万7244円
- 88歳:5万7076円
- 89歳:5万6796円
1.4 90歳以上
- 90歳以上:5万3621円
2. 厚生年金の受給額を年齢別に確認
次に、2階部分にあたる厚生年金の平均受給額を見ていきましょう。
2.1 60歳代
- 60歳:9万6492円
- 61歳:10万317円
- 62歳:6万3244円
- 63歳:6万5313円
- 64歳:8万1700円
- 65歳:14万5876円
- 66歳:14万8285円
- 67歳:14万9205円
- 68歳:14万7862円
- 69歳:14万5960円
3. 70歳代
- 70歳:14万4773円
- 71歳:14万3521円
- 72歳:14万2248円
- 73歳:14万4251円
- 74歳:14万7684円
- 75歳:14万7455円
- 76歳:14万7152円
- 77歳:14万7070円
- 78歳:14万9232円
- 79歳:14万9883円
4. 80歳代
- 80歳:15万1580円
- 81歳:15万3834円
- 82歳:15万6103円
- 83歳:15万8631円
- 84歳:16万59円
- 85歳:16万1684円
- 86歳:16万1870円
- 87歳:16万2514円
- 88歳:16万3198円
- 89歳:16万2841円
4.1 90歳以上
- 90歳以上:16万721円
国民年金だけで、老後生活を送るのは現実的ではありません。国民年金と厚生年金を受給できれば、人によってはようやく基礎生活費をカバーできる金額を受給できます。
老後生活に備えるうえで、できるだけ長く厚生年金保険に加入して働くことは、効果的な対策といえます。
5. 「年金の上乗せ」で毎月分配型投資信託はNG
「年金の上乗せとなる収入を得られる」というセールストークを受けて、毎月分配型投資信託を保有する年金受給者の方は少なくありません。
毎月分配型投資信託とは、その名の通り毎月決算を行い、収益の一部を分配金として投資家に支払う投資信託です。一般的な投資信託が年1〜2回の決算なのに対し、より頻繁に現金収入が得られる特徴があります。
安定した定期収入があるのは魅力ですが、毎月分配型投資信託はおすすめしません。その理由は以下のとおりです。
- 複利効果が働きにくい
- 元本払戻しのリスクがある
- コストが高い
毎月分配金を受け取ることで、本来であれば再投資されて複利効果を生む資金が手元に出てしまいます。複利効果が減少することで、運用成果にマイナスの影響を与えてしまうのです。
また、毎月分配型投資信託では運用成績が悪い時期でも分配金を維持するため、元本を取り崩して支払うケースがあり得ます。これは実質的に自分のお金が戻ってきているだけで、資産は目減りしています。
毎月分配型投資信託は、一般的に信託報酬(運用管理費用)が高く設定されている点も問題です。年間1〜2%程度のコストがかかる商品もあり、資産を増やすどころか減っていた、というケースは十分にあり得るのです。
これらの理由から、毎月分配型投資信託は多くの方にとって不適です。運用しながら取り崩したい場合は、低コストのインデックスファンドを選び、必要な時に必要な分だけ売却する方が、税務効率と複利効果の観点から有利です。
6. まとめにかえて
年金だけで、基礎生活費をカバーするのは難しいかもしれません。追加の収入源があれば生活が楽になりますが、毎月分配型投資信託を選ぶのは避けましょう。
毎月分配型投資信託は運用効率が悪いだけでなく、元本の払戻しリスクがあります。また、高コストで資産を減らしてしまう可能性があるため、注意が必要です。
合理的に年金の上乗せとなる収入を確保するには、低コストのインデックスファンドを活用し、必要時に一部売却する方法がおすすめです。適切な運用戦略で、安心できる老後生活を実現しましょう。
参考資料
柴田 充輝