2. 生活保護費は地域によって異なる
生活保護費は、住んでいる地域によって基準額が異なります。
というのも、地域によって物価や生活様式などが異なるため、必要な生活費も違ってくるからです。
例えば、都市部と地方では、同じ広さの賃貸物件を借りた場合でも家賃が大きく異なります。
また、食料品や日用品など、日常的にかかる費用も地域によって多少の差があり、特に大都市圏では物価が高い傾向にあります。
こういった地域差を考慮しないで一律に生活保護費を支給してしまうと、都心部で生活ができない人が出てきたり、反対に物価の安い地域では必要以上の保護費を支給してしまったりする可能性があります。
不公平を解消するために、地域差を設けることが必要とされているのです。
生活保護の基準額は、「級地制度」により全国を1級地から3級地の3つに分け、さらにそれぞれを2つ(例:「1級地-1」や「1級地-2」)に分けて決められています。
1級地は東京23区や横浜市、大阪市などの大都市が該当し、基準額も高額になっています。
では、地方に住む年金受給者はどのくらい生活保護を受給できるのか、次章でシミュレーションしていきます。
3. 地方に住む人《生活保護費》はいくら?「年金収入3万円」でシミュレーション!
タイトルにもあるように、地方に住んでいて老齢年金受給額が3万円の年金生活者が、生活保護費をいくら受給できるかをシミュレーションします。
級地区分が、2級地と3級地の場合で試算します。
3.1 生活保護費のシミュレーション「級地区分2」の場合
級地区分2-1は、例えば神奈川県綾瀬市、静岡県静岡市、大阪府泉南市などが該当します。
厚生労働省の「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年4月)」によると、生活扶助費は65歳から74歳までが7万990円で、75歳以上が6万4890円です。
また、アパートなどの家賃を支払っている場合、住宅扶助として4万5000円が支給されます。
65歳から74歳までの場合、生活扶助と住宅扶助の合計で11万5990円となりますが、年金収入3万円を差し引くと、生活保護費は8万5990円となります。
同様に、75歳以上の場合は、生活扶助と住宅扶助の合計は10万9890円ですが、3万円を差し引き、生活保護費は7万9890円となります。