10月17日は「貯蓄の日」です。老後の生活を支える柱といえば公的年金ですが、特に65歳以上のおひとりさま世帯では、年金額と家計のバランスが重要な課題となります。

総務省の家計調査によると、65歳以上単身・無職世帯の消費支出は平均して月約14万円前後。一方、2025年度の老齢基礎年金は満額で月約6万9000円にとどまります。

つまり、年金だけでは生活費をまかなうのが難しいケースも多く、貯蓄や資産運用の重要性が高まっています。

今回は、老後にかかるお金や2025年度の年金額を確認しながら、老後資金をどう準備すべきかを考えていきます。

1. 【無職のおひとりさま世帯】65歳以上・単身世帯「ひと月の家計収支」はいくらか

総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、標準的な65歳以上・単身無職世帯のひと月の家計収支データを見てみましょう。

毎月の実収入:13万4116円

■うち社会保障給付(主に年金)12万1629円

毎月の支出:16万1933円

■うち消費支出:14万9286円

  • 食料:4万2085円
  • 住居:1万2693円
  • 光熱・水道:1万4490円
  • 家具・家事用品:6596円
  • 被服及び履物:3385円
  • 保健医療:8640円
  • 交通・通信:1万4935円
  • 教育:15円
  • 教養娯楽:1万5492円
  • その他の消費支出:3万956円
    • うち諸雑費:1万3409円
    • うち交際費:1万6460円
    • うち仕送り金:1059円

■うち非消費支出:1万2647円

  • 直接税:6585円
  • 社会保険料:6001円

65歳以上《単身》無職世帯の家計の姿

  • ひと月の赤字:2万7817円
  • エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
  • 平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%

この単身世帯の家計は、毎月約2万8000円の赤字です。収入は年金中心の約13万4000円に対し、支出が16万2000円と、収入を上回っています。

可処分所得(いわゆる手取り収入)の約1.2倍以上の消費支出が発生している状態(平均消費性向122.9%)で、貯蓄などを取り崩しながら生活していることがうかがえます。