4. 住民税非課税世帯、シニア世代においてその割合が高い理由とは?
「65歳以上の年金収入のみ」の世帯では、非課税限度額は高めに設定されています。
65歳以上では公的年金の最低控除枠が多くなっていること、遺族年金が非課税であること、現役時代よりも収入が下がるケースが一般的であることなどを見ても、年金暮らしの高齢者世帯は「住民税非課税世帯」に該当しやすくなると言えます。
ここでは、住民税が「課税されている世帯」の年齢別割合を、厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」をもとに見ていきましょう。
住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%。一方シニア世代になると60歳代で78.3%、65歳以上は61.9%、75歳以上は50.9%というように、年齢層が高いほど下がります。
ただし、住民税非課税世帯の判定基準に用いられるのは「所得」のみです。「年金額は多くないが、預貯金などの金融資産がある」というシニア世帯が一定数含まれている点には留意が必要となるでしょう。
5. 現金給付だけじゃない。さまざまなサポート制度を調べてみよう
本記事では、多くの自治体ですでに給付済みの物価高対策における現金給付について触れ、その対象となる「住民税非課税世帯」となる要件や所得・収入のボーダーラインを確認しました。
コロナ禍以降、たびたび実施されている現金給付。昨今、途切れることなく給付金が支給されていますが、これらの現金給付は継続されるものではありません。
しかし、国や自治体では、家計が厳しい家庭の暮らしを守るため、年金や医療、介護、子育てなど、さまざまな支援策が用意されています。
お住まいの市町村が独自でサポート制度を設けているケースもあるでしょう。
給付金や補助金、手当など、日々の暮らしの中で活用できるものがないか、調べてみてください。
参考資料
- 総務省「個人住民税」
- 札幌市「個人市民税」
- 国税庁 高齢者と税(年金と税)「年金収入の所得計算、所得控除の増額」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 厚生労働省「生活保護の被保護者調査(令和5年度確定値)の結果を公表します」
和田 直子