老後の生活において、年金はとても重要な収入源です。しかし、同じ日本国内でも、地域によって年金受給額に大きな差があることをご存知でしょうか。
実は都道府県による年金の平均受給額には最大4万円以上もの差があり、この差は現役時代の働き方や報酬額など、様々な要因によって生まれています。
この記事では、最新データによる厚生年金・国民年金の都道府県別平均受給額ランキングをご紹介します。なぜこのような地域差が生まれるのか、年金支給額の決定の仕組みから、その理由を詳しく解説していきます。
ご自身の住む地域の順位や受給額を知ることは、将来の生活設計を考える上で重要な参考情報となるはずです。老後の暮らしをより具体的にイメージするためにも、ぜひご覧ください。
1. 国民年金(基礎年金)受給額の実態と決定要因
まずは、国民年金(老齢基礎年金)における都道府県別の平均受給額、支給額の決定方法、および地域差が生じる理由について解説します。
1.1 都道府県別ランキングと全国平均額
国民年金受給者の都道府県ごとの平均受給額ランキングは以下の通りです。
【国民年金の平均受給額ベスト5位】
- 1位:富山県6万1220円
- 2位:福井県6万532円
- 3位:島根県6万497円
- 4位:長野県6万262円
- 5位:石川県6万170円
【国民年金の平均受給額ワースト5位】
- 1位:沖縄県5万2837円
- 2位:青森県5万5369円
- 3位:大阪府5万5463円
- 4位:和歌山県5万6067円
- 5位:高知県5万6268円
全国平均額:5万7700円
1.2 国民年金支給額の決定方法
国民年金の受給額は、主に「国民年金保険料」を納めた月数によって決定されます。社会保険に加入している間や、配偶者の扶養となっている場合は、保険料を支払わずに「納付済み期間」としてカウントされます。
保険料が加入者全員一律であるため、老後に支給される国民年金(老齢基礎年金)も、加入月数が同じであれば同額となります。
1.3 国民年金支給額に差が生じる要因
国民年金は、原則として20歳から60歳未満の日本居住者は一律で納付義務があり、加入義務期間に保険料の納付をしていれば、年金の受給額も一律となります。
2023年度の満額での国民年金受給額は6万6250円でした。(2025年度は6万9308円・2024年度は6万8000円)
しかし、平均額が満額より約9000円も低く、さらに都道府県によっても差が生じている要因としては、以下の理由が考えられます。
1.保険料免除期間の有無
国民年金は20歳から60歳未満であれば加入して保険料を納付をする義務があります。しかし、一定の条件を満たした場合、その納付が免除される制度が設けられています。
具体的には、学生である期間や、所得が一定以下であり保険料の納付が困難であると認められた場合には、保険料の全額、または一部が免除されます。
免除期間は納付義務はなくなる一方で、将来の国民年金受給額も減額されます。
国民年金受給額の「満額」とは、原則の加入義務期間に漏らさず保険料を納付した場合に適用される計算になっているためです。
2.繰上げ受給をしている
年金の受給には、繰上げ受給という制度が設けられています。現在の日本では、原則として65歳から年金の支給が開始されます。しかし、本人の申請により、支給開始年齢を60歳まで繰上げることが可能です。支給開始年齢を早めると、1ヶ月につき年金支給額が0.5%減額されます。
国民年金の受給額ランキングの順位に高低差がある要因として、住民の保険料免除期間の有無や繰上げ受給の利用の有無が関係していることが考えられます。
2. 厚生年金受給額の実態と決定要因
次に、老齢厚生年金における都道府県別の平均受給額、支給額の決定方法、および地域差が生じる理由について解説します。
2.1 都道府県別ランキングと全国平均額
厚生年金受給額で見た都道府県の平均受給額ランキングは以下の通りです。
【厚生年金の平均受給額ベスト5位】
- 1位:神奈川県16万6578円
- 2位:千葉県16万1368円
- 3位:東京都15万9921円
- 4位:奈良県15万8862円
- 5位:埼玉県15万8003円
【厚生年金の平均受給額ワースト5位】
- 1位:青森県12万4383円
- 2位:沖縄県12万5435円
- 3位:秋田県12万5476円
- 4位:宮崎県12万5499円
- 5位:山形県12万7133円
全国平均額:14万7360円
2.2 老齢厚生年金の支給額はどのように決まるのか
厚生年金の受給額は、主に以下の2つの金額を合算して計算されます。ただし、年齢や配偶者の状況によって、それ以外にも上乗せして支給される場合があります。
1.受給者が社会保険に加入していた加入期間と報酬月額相当額によって計算される「報酬比例部分」
報酬比例部分は社会保険の加入期間に応じて高くなるため、加入期間が長いほど受け取ることができる厚生年金の金額も大きくなります。
また、報酬比例部分の年金額は、加入中の給与(月収)に基づく「標準報酬月額」と、賞与に基づく「標準賞与額」によって決まります。これらをもとに計算される平均標準報酬額が高いほど、将来受け取る厚生年金の金額も高くなります。
2.国民年金の納付年数によって決定する「老齢基礎年金額」
厚生年金加入者は、先ほど説明した国民年金(老齢基礎年金)の金額に、報酬比例部分が上乗せされて支給されます。
2.3 厚生年金受給額に差が生じる要因
厚生年金の受給額は、社会保険の加入期間と加入中の報酬額を基に計算される部分が大きいため、現役時代の働き方によって顕著な差が生じます。
具体的には、加入期間が長く、報酬額が高いほど、将来受け取ることができる年金額は高くなるのです。一方で、個人事業主など社会保険に加入をしない働き方をしていた場合には、厚生年金を受給することはできません。
そのため、会社に勤めずに自営業で働いている場合や、会社に勤めていたとしても報酬額が低い場合には、将来の年金額は低くなります。
厚生年金受給額の順位として大きな都市が上位となっている要因としては、企業に勤めて社会保険に加入をする働き方をしている人が多く、報酬額も一定以上を受け取っているケースが多いなどの理由が考えられます。
3. まとめ
年金受給額は地域によって大きな差があることがお分かりいただけたかと思います。厚生年金については、都市部を中心に受給額が高い傾向にあり、これは給与水準や社会保険加入率の違いが主な要因となっていることが考えられます。
老後の生活設計を立てる際には、居住地域による年金の受給額の差も参考とすることができます。しかし、ご紹介した金額はあくまでも平均値であり、実際の受給額はあなたの働き方や保険料の納付状況によって大きく異なってきます。
将来の資金などに不安を感じる場合は、まずはねんきんネットや試算ツールなどで自身の年金受給額を把握することから始めましょう。その上で、必要に応じて資産形成や追加的な老後の備えを検討することをお勧めします。
生活設計についてお悩みの場合は、ファイナンシャルプランナーなど専門家への相談を検討しましょう。自分自身の老後を見据え、早めの対策を講じることが、安心した生活への鍵となります。



