3. 老齢年金の受給額はどう決まる?
年金振込通知書で確認できる金額のベースとなっているのが、年金の支給額です。
日本の年金制度は「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」から成り立つ2階建て構造となっています。
まずはこれら2つの年金制度の基本を押さえておきましょう。
3.1 国民年金
20歳から60歳まで保険料を納めた期間に応じて支給される年金です。
保険料を40年すべて納付した場合、2025年度の満額は年額83万1696円(月額約6万9308円)です。
3.2 厚生年金
会社員や公務員などが加入していた厚生年金の加入期間と報酬額に応じて決まります。平均的な支給額は国民年金を含めて年間約168万円(月額約14万円)ほどです。
4. 年金受給額の平均はどのくらい?
実際にどのくらいの年金をもらえるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、60歳以上のすべての受給権者における、厚生年金と国民年金の受給額分布を男女別でみていきましょう。
4.1 厚生年金 ※国民年金部分を含む
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
年金月額階級ごとの受給者数
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
上図のとおり、月額1万円未満~30万円以上と受給額が広範囲に分布しています。
厚生年金の支給額は、現役時代の収入に連動するため、個人差が非常に大きいのが特徴です。
4.2 国民年金 ※国民年金のみの受給の場合
一方、自営業や無職期間などで国民年金のみを受け取っている人たちの支給額は、厚生年金に比べてかなり低くなります。
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
年金月額階級ごとの受給者数
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
国民年金は、支給額「6万円台」が最も多く、いわゆる“満額”に近い水準を受け取っている人も多いことがわかります。一方で、2万円未満しか受け取れない低年金の人も一定数おり、年金だけで生活するには不安が残る層も存在します。
平均値だけを見ると「なんとなく足りないかも」と感じる方も多いでしょう。しかし、実際の年金額は人によって大きく異なり、収入・働き方・加入期間などによって将来の受給額は変わってきます。
女性の場合平均受給額が少なくなっていますが、出産などでキャリアが一時的に途切れるというケースも多いと推測されます。今後、女性の社会進出などによってこの格差は縮まっていくと考えられています。
老後にどれだけ年金を受け取れるかだけでなく、「その年金で生活できるのか」という視点で、早いうちから資金計画を立てることが大切です。