5. 実際に制度を使う際の注意点とデメリット

成年後見人は便利で理にかなったシステムのように思われますが、デメリットもあります。制度を利用する場合は、しっかりと理解した上で検討するようにしましょう。

5.1 一度開始すると原則として終了できない

成年後見制度は、一度開始すると、本人の判断能力が回復しない限り、原則として終了できません。そのため、制度の利用は慎重に検討する必要があります。

5.2 後見人の義務と制約

後見人には、以下のような義務と制約があります。

家庭裁判所への定期報告義務

後見人は、本人の財産状況や生活状況について、定期的に家庭裁判所に報告する義務があります。

財産の管理と処分に関する制約

後見人は、本人の財産を適切に管理し、必要な支出を行うことが求められますが、自由に財産を処分することはできません。

専門職後見人の選任と報酬

親族間で後見人の選任に合意が得られない場合や、適任者がいない場合、家庭裁判所は弁護士や司法書士などの専門職を後見人として選任することがあります。

この場合、後見人には報酬が発生し、本人の財産から支払われます。報酬は家庭裁判所が決定し、本人の財産状況によっては自治体の補助が受けられる場合があります。

しっかりと検討を

成年後見制度は、高齢の親の財産を守るための有効な手段ですが、制度の利用には慎重な検討と準備が必要です。

制度の詳細や手続きについては、家庭裁判所や専門家に相談することをおすすめします。

6. 親の「もしも」に備えて、早めの準備がカギ

高齢の親の財産を守り、必要なときに適切に使うためには、成年後見人制度の理解と準備が欠かせません。

いざというときに慌てないよう、家族間で話し合いを進め、必要に応じて専門家に相談することが大切です。

制度の仕組みと現実を知ったうえで、親の「老いじたく」をサポートする準備をしておきましょう。

参考資料

マネー編集部