2. 「成年後見人制度」とは?仕組みと種類を解説

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方々を法的に支援する制度です。

2.1  成年後見制度は2つに分かれる

成年後見制度は、大きく次の2つに分かれます。

  • 法定後見制度:すでに判断能力が低下している人のために、家庭裁判所が後見人を選任する制度
  • 任意後見制度:将来判断能力が低下したときに備えて、本人が元気なうちに後見人を選んで契約しておく制度

後見制度の違い

後見制度の違い

出所:厚生労働省「成年後見はやわかり」

2.2 法定後見制度とは?

紹介したふたつの制度のうち、法定後見制度とは、本人の判断能力がすでに不十分になった後に利用できる制度で、家庭裁判所が後見人を選任する仕組みです。

よくあるケースとして、親がすでに認知症などで意思の疎通が難しくなっている場合に利用できるのは、「法定後見制度」です。

判断能力が低下した高齢者の財産や契約行為などを法的にサポートするために設けられた制度であり、本人の判断能力の程度に応じて、以下の3つの類型があります。

法廷後見制度

法廷後見制度

出所:厚生労働省「任意後見制度とは」

後見

「後見」は、判断能力が欠けている方が対象です。

成年後見人は、本人に代わって財産に関するすべての法律行為を行う権限を持ちます。ただし、日常生活に関する行為(例:少額の買い物や日常的な支出など)は、本人が自ら行うことができます。

また、成年後見人は、本人が行った不利益な法律行為を取り消すことができます。

保佐

「保佐」は、判断能力が著しく不十分な方が対象です。

保佐人は、民法13条1項所定の行為(例:借金、訴訟行為、相続の承認・放棄、不動産の処分など)について、同意権・取消権を持ちます。また、家庭裁判所の審判により、特定の法律行為について代理権を与えることができます。(出所:法務省「成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A」

補助

「補助」は、判断能力が不十分な方が対象です。

補助人は、家庭裁判所が定める特定の法律行為について、同意権・取消権および代理権を持ちます。ただし、補助開始の審判や補助人に同意権・代理権を与える審判をする場合には、本人の同意が必要となります。

成年後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて適切な支援を提供するための重要な制度です。各類型の特徴を理解し、必要に応じて適切な手続きを行うことが大切です。