6月15日は父の日。5月の母の日に続き、親を想う時間がより増える時期ですね。
「親が高齢になり、認知症などで判断能力が低下したら、お金の管理はどうすればいいのだろう」
こんなことがふと頭をよぎったことがある人もいるでしょう。
「なにかあった時には、ここからお金を引き出してね」と親から言われている人もいるかもしれません。
しかし、家族が代理人として親名義の銀行口座から預金を引き出すことができないケースがあります。本人の意思確認ができない場合には、口座凍結となるケースも。
突然の入院費や介護費用の支払いが迫る中、「口座凍結」でお金が動かせない事態に直面すると、家族は大きな混乱に見舞われます。
そうしたリスクを回避するために知っておきたいのが「成年後見人制度」です。この記事では、元銀行員の視点から、制度の基本と利用時の注意点をわかりやすく解説します。
1. 認知症の進行で親の預金口座が「口座凍結」に?
高齢の親が認知症になった場合、たとえ家族であっても、本人の口座から勝手にお金を引き出すことはできません。
金融機関では「本人確認ができない」「本人の意思を確認できない」として、口座を凍結する措置が取られることが一般的です。
1.1 口座凍結の事例
- 「入院費用を払おうとしたが、親の口座が凍結されていて引き出せなかった」
- 「施設入居の契約金を用意できず、やむなく親の資産を立て替える羽目に」
など、急を要するケースでも、家族の口座では対応できず、途方に暮れる方も多いのが現実です。
こうした事態に対応するには、「法定後見人」を選任し、後見人が代わりに財産管理や契約行為を行う必要があります。
1.2 認知症患者の増加とその影響
日本では高齢化が進む中、認知症患者数も増加しています。
厚生労働省の推計によれば、2025年には65歳以上の高齢者の約20%が認知症になるとされています 。
これは高齢者5人に1人が認知症になる計算であり、家族が預金の管理や引き出しに関して直面する問題が増加することが予想されます。
このような状況に対応するための制度として「成年後見制度」があります。次章からは、制度について紹介していきます。