4. 親の「成年後見人」になるには?申し立てから選任までの流れ
では、実際どのようにすれば成年後見人になれるのでしょうか。
4.1 任意後見制度の場合
任意後見制度で成年後見人を選任する場合は、被後見人となる本人の意思が反映されるため比較的スムーズに手続きすることができます。
4.2 法定後見制度の場合
任意後見制度と比べると、法定後見制度はやや手続きに時間を要します。
ここからは、法定後見制度を利用して、実際に家族などが後見人に選任されるまでの手続きについて紹介します。
申立てを行うことができる人
成年後見制度の申立ては、本人または四親等以内の親族(配偶者、子、孫、両親、兄弟姉妹、従兄弟、甥、姪など)が行うのが一般的です。また、検察官や市町村長などの関係機関も申立てを行うことができます。
申立てができるのは、
- 本人
- 配偶者、子、親、兄弟姉妹、孫など四親等内の親族
- 市区町村長などの行政機関(家族がいない場合など)
となっています。
4.3 申し立てに必要な書類と手続き
必要書類(主なもの)
- 申立書
- 本人の戸籍謄本・住民票
- 家族(候補者)の戸籍・住民票
- 医師による診断書(裁判所所定の様式)
- 財産目録(預金通帳コピー、不動産登記事項証明書など)
- 本人情報シート(場合によっては不必要なケースもある。申立人が作成し、必要に応じて福祉機関が支援する場合がある)
手続きの流れ
書類の準備と提出
→ 家庭裁判所に申し立てを行います。
家庭裁判所による審理
→ 本人や申立人への面談、必要に応じて調査官による自宅訪問などがあります。
審判・後見人の選任
→ 裁判所が後見人を選任。原則として親族が優先されますが、適任者がいない場合は専門職が選ばれることもあります。
審判確定・後見開始
→ 審判が確定後、東京法務局に登記され、正式に後見人としての職務が始まります。
※手続き完了までは通常1か月〜3か月程度を要します。
4.4 家族が後見人になれない場合もある
家庭裁判所は「本人の利益を最優先」に判断するため、次のようなケースでは親族が後見人に選ばれないことがあります。
- 財産トラブルや親族間の対立がある
- 明らかに本人の利益と相反する関係にある
- 過去に不正行為があったと疑われる場合
その場合は、弁護士・司法書士・社会福祉士などの「専門職後見人」が選任され、報酬が本人の財産から支払われます。