少しずつ春の気配が感じられる3月となりましたが、新年度を前にご自身の将来のお金について考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に60歳代を迎え、セカンドライフが視野に入ってくると「年金だけで生活していけるのだろうか」という不安は多くの人が抱えるものです。
周りの同世代がどれくらいの年金を受け取っているのか、気になる方も多いでしょう。
この記事では、公的年金の基本的な仕組みから、60歳代から90歳以上までの年齢別に見た厚生年金・国民年金の平均受給額を一覧表で詳しく解説します。
さらに、年金生活を送るシニア世帯のリアルな家計収支にも触れていきますので、ご自身のライフプランを考える上での参考にしてみてください。
公的年金の仕組みはどうなっている?基本の2階建て構造を解説
公的年金は「2階建て構造」だと聞いたことがある人もいるでしょう。
これは、日本の年金制度が「1階部分にあたる国民年金(基礎年金)」と「2階部分にあたる厚生年金」から成り立つためです。
1階部分にあたる「国民年金」の概要
- 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上60歳未満の全員
- 年金保険料:国民年金保険料は全員一律。ただし年度ごとに改定あり(2025年度月額:1万7510円)
- 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額が受け取れる(2025年度月額:6万9308円)
国民年金の加入者は第1号被保険者~第3号被保険者にわかれ、このうち第2号被保険者が後述する厚生年金に加入します。厚生年金保険料を支払う人は、別途国民年金保険料を支払う必要はありません。
また、第3号被保険者も保険料の納付義務がありません。
2階部分にあたる「厚生年金」の概要
- 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人が国民年金に上乗せで加入
- 年金保険料:収入に応じて厚生年金保険料が変わる。ただし上限あり(※2)
- 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
【年齢別一覧】60歳から90歳以上の厚生年金受給額
厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢1歳刻みにおける「平均年金月額」を一覧表でご紹介します。
まずは厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を見ていきましょう。年齢による違いはあるのでしょうか。
60歳代(60〜69歳)の厚生年金・平均月額
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含みます
70歳代(70〜79歳)の厚生年金・平均月額
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
80歳代(80〜89歳)の厚生年金・平均月額
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
90歳以上の厚生年金・平均月額
- 90歳以上:16万4027円
標準的な年金受給開始年齢は65歳となっていますが、65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額を見ると、14万円~16万円台であることがわかりました。
年齢があがるほどに、ゆるやかに平均額が上昇する傾向があります。
【年齢別一覧】60歳から90歳以上の国民年金受給額
本章では国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。年齢による違いはあるのでしょうか。
60歳代(60〜69歳)の国民年金・平均月額
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
70歳代(70〜79歳)の国民年金・平均月額
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
80歳代(80〜89歳)の国民年金・平均月額
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
90歳以上の国民年金・平均月額
- 90歳以上:5万5633円
一般的に年金受給開始となる65歳以降の場合、国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は5万円~6万円台となりました。
厚生年金と国民年金で見る受給額の個人差
老齢年金の受給額は、現役当時の年金加入状況により個人差が生じます。
厚生年金と国民年金の平均月額をみたのちに、受給額ごとの人数も見ることで、その個人差がどれほどかを見ていきましょう。
厚生年金の受給額に見られる個人差
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
厚生年金の受給額分布(1万円刻み)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
月額1万円未満から30万円以上と、幅広い受給額に分布していることがわかります。
国民年金の受給額に見られる個人差
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
国民年金の受給額分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台となりました。男性は6万円台、女性は5万円台と、ほんのわずかですが男女差が見られます。
ボリュームゾーンを見ると、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることがわかります。
厚生年金ほどではありませんが、国民年金においても月額1万円未満~7万円以上と個人差がみられます。
65歳以上の無職夫婦世帯における家計の収支状況
この章では、65歳以上無職の夫婦世帯と単身世帯のひと月の家計収支を見ていきます。
総務省が公表する「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」を参考にしましょう。
収入の内訳:65歳以上の無職夫婦世帯
- 実収入:25万2818円
- うち社会保障給付:22万5182円 ※主に年金
支出の内訳:65歳以上の無職夫婦世帯
- 実支出:28万6877円
- うち消費支出:25万6521円
消費支出とは、いわゆる生活費のことです。内訳は以下のとおりです。
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- うち諸雑費:2万2125円
- うち交際費:2万3888円
- うち仕送り金:1040円
なお、非消費支出は3万356円となっており、内訳は次のとおりです。
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
この夫婦世帯の場合、ひと月の実収入25万2818円に対し、支出は合計28万6877円で、月の家計収支は3万4058円の赤字となっています。
65歳以上の無職単身世帯における家計の収支状況
続いて、単身世帯の家計収支も同様に見ていきましょう。
収入の内訳:65歳以上の無職単身世帯
- 実収入:13万4116円
- うち社会保障給付:12万1629円 ※主に年金
支出の内訳:65歳以上の無職単身世帯
- 支出:16万1933円
- うち消費支出:14万9286円
消費支出の内訳は次のとおりです。
- 食料:4万2085円
- 住居:1万2693円
- 光熱・水道:1万4490円
- 家具・家事用品:6596円
- 被服及び履物:3385円
- 保健医療:8640円
- 交通・通信:1万4935円
- 教育:15円
- 教養娯楽:1万5492円
- その他の消費支出:3万956円
- うち諸雑費:1万3409円
- うち交際費:1万6460円
- うち仕送り金:1059円
非消費支出の平均は1万2647円でした。
- 直接税:6585円
- 社会保険料:6001円
単身世帯の場合は、ひと月の実収入13万4116円に対し、支出は合計16万1933円で、月の家計収支は毎月2万7817円の赤字となっています。
年金受給者の確定申告:不要制度とマイナンバーカード活用法
年金受給者のうち、一定の条件を満たす場合には「確定申告不要制度」が適用されます。あてはまる人の場合、毎年確定申告をおこなう必要はありません。
確定申告が不要になる具体的な条件
確定申告が不要となる条件は次のとおりです。
- 公的年金等(※1)の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である
※1 国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など
※2 生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金など
ただし確定申告不要制度の対象者であっても、確定申告をすることで所得税の還付を受けられるケースもあります(※3)。
所得税の確定申告が不要な場合でも、生命保険料控除や地震保険料控除など、源泉徴収票に記載されていない控除を適用したいケースや、公的年金などに係る雑所得以外の所得があり住民税の申告が必要となるケースがあります(※4)。
※3 公的年金から源泉徴収された所得税を、医療費控除や雑損控除などにより取り戻したい場合
※4 所得税の確定申告をすれば、その情報が市区町村に送られるため、改めて住民税の申告をする必要はありません
スマートフォンで完結する確定申告の方法
スマートフォンとマイナンバーカードの連携が進んだことで、令和7年(2025年)分の確定申告はさらに簡単になります。
マイナンバーカードをスマホで読み取らなくても、スマートフォンのマイナンバーカードを利用すれば申告書の作成・e-Tax送信が可能です。
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、案内に沿って申告書を入力すると完成しますし、自動計算機能によって計算ミスも防げます。
また、マイナポータル連携の機能を使うと、保険料控除証明書や源泉徴収票などの情報を自動取得し、確定申告書へ反映できます。書類を集めて入力する手間が省け、確定申告にかかる時間が大幅に短縮できるでしょう。
まとめ
今回は、公的年金の仕組みから年齢別の平均受給額、そして年金生活者の家計収支まで、具体的なデータをもとに詳しく見てきました。
厚生年金や国民年金の平均額は、ご自身の状況と比べていかがでしたでしょうか。
また、65歳以上の無職世帯では、夫婦・単身ともに毎月の収支が赤字になるというデータは、多くの方にとって他人事ではないかもしれません。
老後の生活を豊かにするためには、ご自身の年金見込額を把握し、早めに家計の状況を見直すことが大切です。
確定申告で税金の還付を受けられる可能性もありますので、対象となる方はスマートフォンなどを活用して手続きを検討してみるのも一つの方法です。
この記事が、ご自身のセカンドライフを考えるきっかけとなれば幸いです。













