6月の公的年金受給を前に、現在はお金の使い方やこれからの生活に思いを巡らせる方も多いのではないでしょうか。
筆者はファイナンシャルプランナーとして、70歳代夫婦の老後の家計相談を数多く受けてきました。
今回は、金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」のデータをもとに、70歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を読み解き、資産をどのように活かしていくかを「資産寿命シミュレーション」の視点からご紹介します。
1. 70歳代二人以上世帯【計画的に備えてきた世帯が多数】安定の貯蓄額平均
まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額階層ごと世帯割合(金融資産非保有世帯を除く)についてみていきましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
- 100万円未満:6.9%
- 100~200万円未満:6.2%
- 200~300万円未満:4.3%
- 300~400万円未満:4.7%
- 400~500万円未満:2.9%
- 500~700万円未満:6.2%
- 700~1000万円未満:8.0%
- 1000~1500万円未満:12.9%
- 1500~2000万円未満:8.3%
- 2000~3000万円未満:11.2%
- 3000万円以上:24.0%
- 無回答:4.4%
- 平均:2450万円
- 中央値:1205万円
70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額階層ごと世帯割合(金融資産非保有世帯を除く)についてポイントにそって解説していきます。
1.1 ポイント①【高い資産水準】平均2450万円・中央値1205万円
70歳代でも「平均2450万円・中央値1205万円と、金融資産の保有水準は高めを維持。
これは、長年の家計管理と備えの積み重ねの結果であり、「引退後も資産をしっかり守ってきた世代」としての安定感を感じられるポイントです。
1.2 ポイント②3000万円以上が24%。堅実な資産形成を実現した世帯も多数
3000万円以上の資産を保有する世帯は、70歳代・二人以上世帯のうち24%になります。
これは、退職金の活用や長期的な資産運用、節度ある家計管理を継続してきた結果として、堅実に資産形成を実現した世帯が一定数存在していることを示しています。
1.3 ポイント③1000万円以上が過半数。築いてきた資産を活かすフェーズへ
「1000万円〜1500万円未満」が最も多く12.9%を占め、1000万円以上の世帯を合計すると全体の5割超になります。
この結果は多くの70歳代世帯が、長年にわたる計画的な家計管理によって一定の資産を築いてきたことがわかります。
これからは、そうした資産をどう取り崩し、どう活かしていくかが大切なテーマになります。
次の章では、資産を運用した場合・しなかった場合でどれほど「資産寿命」に差が出るのか、シミュレーションをもとに詳しく見ていきましょう。