4. 高齢者向けのサービスや補助金は他にもある
高年齢者が使えるサービスや制度には以下のようなものもあります。
- 補聴器購入の補助制度:65歳以上の方が補聴器を購入する費用を一部負担してくれる(一部の自治体のみや自治体により内容が異なるので詳細はお住まいの自治体でお調べください)
- 高額介護サービス費制度:1ヶ月の介護費用が一定の金額以上になると費用が返金される
上記以外にも、高年齢者が使えるサービスや制度は多岐にわたります。
知らないではもったいないので、自分で調べてみたり、必要な際には自治体などに問い合わせたりしてもいいかもしれませんね。
5. 物価上昇により年金受給者はさらにゆとりのない生活に
新型コロナウイルスの影響が一巡したあとの近年数年は、物価上昇が続いています。日常の買い物のなかで、商品の値上がりを実感している方も多いでしょう。
年金は、基本的に物価上昇率を加味して受給額が増える仕組みですが、過去3年間の支給額の上昇率を見ると、物価上昇率に届いてません。
年金上昇率と物価上昇率

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」、厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 2.7%の引上げです~」、厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」をもとに筆者作成
*前年度比の上昇率。いずれも厚生労働省公表値。
年金額の改定のときには、賃金上昇率と物価上昇率の低い方を基準とします。この時点で年金額の引上げ率が物価上昇率を上回ることはありません。
さらに、近年は受給期間の長期化や、少子高齢化に伴う被保険者の減少を調整するための「マクロ経済スライドによる調整」により引上げ率が抑えられます。その結果として、各年とも年金額の引上げ率は物価上昇率に届かないのです。
年金額の増加率が物価上昇率を下回っていると、金額では増えているように見えても、それ以上のペースで商品の値段が高くなるため、知らず知らずのうちに生活のゆとりはなくなっていきます。
まずは、今回紹介したような給付金の受給資格がある方は、速やかに申請をして受給を開始しましょう。その他、家計の節約や資産運用など、ゆとりのある生活をおくるための工夫を検討してください。どうしても収入が不足するなら、年金受給時期に入っても、元気なうちは働き続けることを検討するのもひとつです。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 日本年金機構「加給年金額を受けられるようになったとき」
- 日本年金機構「老齢厚生年金受給者に加給年金額がつくとき」
中本 智恵