3. 地方住みで「年金収入5万円」の人の生活保護費はいくら?
生活保護費は、住んでいる地域によって物価や生活様式などが異なり必要な生活費にも差があるため、基準額が異なります。
基準額は、「級地制度」により全国を1級地から3級地の3つに分け、さらにそれぞれを2つに分けて(例:「1級地-1」や「1級地-2」)決められています。1級地は東京23区や横浜市、大阪市などの大都市が該当します。
では、地方に住む年金受給者はいくら生活保護を受給できるのでしょうか。
タイトルにもあるように、地方に住んでいて年金収入が5万円の年金生活者が、生活保護費をいくら受給できるかをシミュレーションします。
地方住みとあるため、級地区分が2級地と3級地の場合で試算します。
3.1 級地区分2の場合
級地区分2-1には、埼玉県川越市、静岡県静岡市、大阪府富田林市などが該当します。
厚生労働省の「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年4月)」によると、生活扶助費は65歳から74歳までが7万990円で、75歳以上が6万4890円です。
また、アパートなどの家賃を支払っている場合、住宅扶助として4万5000円が支給されます。
65歳から74歳までの場合、生活扶助と住宅扶助の合計で11万5990円となりますが、年金収入5万円を差し引くため、生活保護費は6万5990円となります。
同様に、75歳以上の場合は、生活扶助と住宅扶助の合計は10万9890円ですが、5万円を差し引き、生活保護費は5万9890円となります。
3.2 級地区分3の場合
級地区分3-1には、千葉県館山市や山梨県山梨市、奈良県天理市などが該当します。
生活扶助費は65歳から74歳までが6万8670円で、75歳以上が6万2890円です。また、住宅扶助として4万900円が支給されます。
65歳から74歳までの場合、生活扶助が6万8670円で住宅扶助が4万900円で、合計10万9570円になりますが、年金収入5万円を差し引くため、生活保護費は5万9570円になります。
また、75歳以上の場合は、生活扶助と住宅扶助の合計が10万3790円ですが、年金収入を差し引くため、生活保護費は5万3790円になります。
4. まとめにかえて
老齢年金を受給している方でも、収入が最低生活費に満たない場合、生活保護を受給できる可能性があります。ただし、現金や預貯金などの資産があれば、まず生活費に充てなければならず、働ける状態にある場合は状況に応じて働くことが求められます。
支給される生活保護費は級地区分によって異なるため、ご自身がお住いのエリアがどの区分に該当するかで基準額が決まります。
生活保護の受給について相談したい場合は、お住いのエリアを管轄している福祉事務所や市区町村役所で相談可能です。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「R5.5生活保護制度に関するQ&A」
- 厚生労働省「生活保護を申請したい方へ」
- 厚生労働省社会・援護局保護課「生活保護制度における地域差等について」
- 厚生労働省「級地区分(H30.4.1)」
- 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年4月)」
木内 菜穂子