6月13日は年金支給日です。老齢年金を受給していても、受給額が少ない場合は毎月の生活費をカバーできない可能性があります。健康状態が良好であれば働いて収入を得ることが可能ですが、難しいケースもあるでしょう。

所得が低い方に対して、最低水準の生活を保障する「生活保護」がありますが、老齢年金受給者でも、一定の要件を満たせば受給することが可能です。

本記事では、生活保護の概要や利用できる人などを解説するとともに、地方に住んでいて老齢年金を受給しており年金収入が5万円ある方の場合、生活保護をいくら受給できるのかシミュレーションします。

1. 「老齢年金」と「生活保護」は両方受給できる

老齢年金を受給中の方で、収入が一定基準以下の場合は、生活保護費も受け取ることが可能です。

そもそも生活保護とは、生活に困っている方に対し、困窮の度合いに応じて必要とされる保護をすることで、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立支援することを目的とした制度です。そのため、老齢年金だけでは最低限度の生活が難しければ受給できる可能性があります。

生活保護制度1/3

生活保護制度

出所:厚生労働省「生活保護制度」

生活保護として受け取れる金額は、国が定めた「最低生活費」から収入を差し引いた差額です。収入には、老齢年金や働いて得た給与などが含まれます。

2. 生活保護を受給できる要件

生活保護を受給するには、一定の要件を満たしている必要があります。

2.1 資産を活用する

以下のような資産を保有している場合は、売却するなどして資金化し、生活費に充てなければなりません。

  • 現金・預貯金
  • 生活に利用していない土地・家屋など
  • 自動車、バイク
  • 生命保険
  • 有価証券

なお、自動車は資産に該当するため原則として処分するよう求められますが、通勤や通院などに使用する場合は許可されることがあります。また、居住用の持家も所有が認められる可能性があります。

2.2 働ける能力を活用する

働ける場合は、健康状態や年齢など能力に応じて働く必要があります。

障害や病気などのため働けない場合は、生活保護が認められることが多いですが、「働きたくない」などの理由で働かない場合は認められず、まず働くことを求められます。

2.3 他の制度を優先して活用する

公的支援には、生活保護以外にも年金や手当金などがあり、要件を満たせば受給できる可能性があります。それらの制度は生活保護に優先するため、まずは他の制度による支援が受けられる場合は、それらが適用されます。

2.4 扶養義務者の援助が優先される

親や子ども、兄弟などの扶養義務者から援助が可能な場合も、生活保護よりそれらが優先されます。

扶養義務者へは、一般的に文書で支援が可能かどうかの確認が行われます。

なお、照会がないことを理由に、生活保護が受けられないということはないとされています。

3. 地方住みで「年金収入5万円」の人の生活保護費はいくら?

生活保護費は、住んでいる地域によって物価や生活様式などが異なり必要な生活費にも差があるため、基準額が異なります。

基準額は、「級地制度」により全国を1級地から3級地の3つに分け、さらにそれぞれを2つに分けて(例:「1級地-1」や「1級地-2」)決められています。1級地は東京23区や横浜市、大阪市などの大都市が該当します。

では、地方に住む年金受給者はいくら生活保護を受給できるのでしょうか。

タイトルにもあるように、地方に住んでいて年金収入が5万円の年金生活者が、生活保護費をいくら受給できるかをシミュレーションします。

地方住みとあるため、級地区分が2級地と3級地の場合で試算します。

3.1 級地区分2の場合

級地区分2-1には、埼玉県川越市、静岡県静岡市、大阪府富田林市などが該当します。

厚生労働省の「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年4月)」によると、生活扶助費は65歳から74歳までが7万990円で、75歳以上が6万4890円です。

また、アパートなどの家賃を支払っている場合、住宅扶助として4万5000円が支給されます。

生活保護費の例2/3

生活保護費の例

試算結果をもとに筆者作成

65歳から74歳までの場合、生活扶助と住宅扶助の合計で11万5990円となりますが、年金収入5万円を差し引くため、生活保護費は6万5990円となります。

同様に、75歳以上の場合は、生活扶助と住宅扶助の合計は10万9890円ですが、5万円を差し引き、生活保護費は5万9890円となります。

3.2 級地区分3の場合

級地区分3-1には、千葉県館山市や山梨県山梨市、奈良県天理市などが該当します。

生活扶助費は65歳から74歳までが6万8670円で、75歳以上が6万2890円です。また、住宅扶助として4万900円が支給されます。

生活保護費の例3/3

生活保護費の例

試算結果をもとに筆者作成

65歳から74歳までの場合、生活扶助が6万8670円で住宅扶助が4万900円で、合計10万9570円になりますが、年金収入5万円を差し引くため、生活保護費は5万9570円になります。

また、75歳以上の場合は、生活扶助と住宅扶助の合計が10万3790円ですが、年金収入を差し引くため、生活保護費は5万3790円になります。

4. まとめにかえて

老齢年金を受給している方でも、収入が最低生活費に満たない場合、生活保護を受給できる可能性があります。ただし、現金や預貯金などの資産があれば、まず生活費に充てなければならず、働ける状態にある場合は状況に応じて働くことが求められます。

支給される生活保護費は級地区分によって異なるため、ご自身がお住いのエリアがどの区分に該当するかで基準額が決まります。

生活保護の受給について相談したい場合は、お住いのエリアを管轄している福祉事務所や市区町村役所で相談可能です。

参考資料

木内 菜穂子