65歳になり公的年金が主な収入源になると、現役時代よりも年収が少なくなることや公的年金等控除の適用により、住民税が非課税になる可能性があります。

住民税の納付負担がなくなれば、その分年金手取り額が増えることになります。

では、65歳以上夫婦世帯が住民税非課税世帯になるには、年収や所得がいくらまでに抑えられれば良いのでしょうか。

本記事では、住民税非課税世帯の概要を解説するとともに、年収・所得額がいくらまでに収まれば非課税に該当するのか、また、夫婦で年金収入が300万円を超えても住民税非課税世帯になるケースについて解説していきます。

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1. 住民税非課税世帯とは

住民税非課税世帯とは、世帯すべての人が住民税の「所得割」と「均等割」のいずれも課税されない世帯のことをいいます。

世帯の中でだれかひとりでも課税される人がいると、住民税非課税世帯には該当しません。

住民税は「所得割」と「均等割」の2つで構成されています。

所得割は個人の所得に応じて課され、所得が多いほど高額になるのが一般的です。

一方、均等割は所得に関わらず一定額以上の所得がある人が均等に負担するものです。

住民税は、会社員や公務員の場合は給与から天引きされるのが一般的で、自営業や個人事業主などの場合は、6月頃に住民税決定通知書と納付書が送付されるので期日までに納付します。

年金受給者であっても、所得によっては住民税の納付が生じるケースがあり、課税される場合は年金から天引きされるのが一般的です。

なお、所得が一定金額以下の場合は非課税となり、納める必要はありません。

では、住民税が非課税になる所得・年収はいくらが目安となるのでしょうか。次章で解説していきます。

2. 住民税非課税世帯になる収入・所得額のボーダーライン

住民税は、前年の合計所得が一定基準以下であれば非課税になり、その基準額はお住いのエリアがどの「級地区分」に当てはまるかによって異なります。

級地区分とは、地域ごとの物価や生活様式などの差を生活保護基準に反映させるための制度です。

3級地6区分制となっており、全国を1〜3級地の3つに区分し、それぞれがさらに2つに分かれて、全部で6つに分類されています。

ここでは、1級地における所得・年収のボーダーラインを見ていきましょう。

2.1 1級地の所得のボーダーライン

1級地の例として、東京23区が挙げられます。東京23区で2026年度(令和8年度)から住民税が「所得割・均等割とも非課税になる」要件は以下の通りです。

  • 生活保護法による生活扶助を受けている人
  • ひとり親または寡婦、障害者、未成年者で、前年中の合計所得が145万円以下(給与所得者の場合は、年収214万4000円未満)の人
  • 前年中の合計所得が区市町村の条例で定める額以下の人

・同一生計の配偶者や扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+41万円以下
・同一生計の配偶者や扶養親族がいない場合:55万円以下

住民税が非課税になるのは、生活保護を受けている人や、前年の合計所得が145万円以下のひとり親や障害者などです。

また、前年の所得が条例で定められた金額以下の人も非課税となり、生計を一にする配偶者や扶養親族がいる人と単身の人とで基準額が異なります。

2026年度の改正により、いわゆる「年収の壁」対策としてこれらの非課税基準が一律10万円(所得ベース)引き上げられました。

では、65歳以上の世帯ではどうなるのでしょうか。

【単身世帯の場合】

単身世帯の場合は合計所得が55万円の世帯が該当します。

【夫婦二人世帯】

夫婦二人世帯の場合は合計所得が111万円以下が該当します。
計算)35万円×2人+41万円=111万円

2.2 1級地の収入のボーダーライン

所得だとわかりにくいかもしれないため、収入ではいくらまでが該当するのか見ていきましょう。

【単身世帯の場合】

住民税が非課税になる合計所得は55万円で、公的年金等控除が110万円適用されるため、年収は合計165万円がボーダーラインの目安となります。

年金受給額が月額約13万7500円以下が目安となるでしょう。

【夫婦二人世帯の場合】

住民税が非課税になる合計所得は111万円で、公的年金等控除が110万円適用されるため、年収は合計221万円がボーダーラインの目安となります。

月額では約18万4000円以下であれば非課税になる計算です。

なお、住民税非課税世帯に該当するのは、配偶者の年金収入は165万円以下、給与収入の場合は110万円以下であることが条件です。

3. 夫婦で年収300万円超あっても、住民税非課税世帯に該当する可能性はある

2026年度からの改正で、住民税非課税世帯になるボーダーラインの枠が広がりました。

たとえば、65歳以上夫婦世帯が住民税非課税世帯になるのは、年金収入が夫は221万円以下、妻は165万円以下であることが条件の目安となります。

つまり、夫婦の年金収入が386万円(221万円+165万円)と300万円を大きく超えていても、収入から「公的年金等控除額」を差し引いた所得が基準額以下となれば住民税非課税世帯に該当することがあるということです。

なお、年金所得以外にも給与や事業などの所得があれば合算して判定されるため注意しましょう。

住民税非課税世帯になる要件は自治体により異なるため、詳しい要件を知りたい場合は市区町村役所の市民税課・税務課などで確認してください。

参考資料