4. 「加給年金」がもらえない3つのケースを確認!
加給年金が支給されない主なケースは、以下の3つ。
- 配偶者が20年以上厚生年金に加入し、老齢厚生年金を受給している場合
- 在職老齢年金のため支給が停止されている場合
- 繰下げ受給を利用している場合
4.1 配偶者が20年以上厚生年金に加入し、老齢厚生年金を受給している場合
加給年金は「扶養家族の生活支援」を目的としています。
そのため、すでに一定額の厚生年金を受け取っている配偶者がいる場合、加給年金の対象外となります。
4.2 在職老齢年金のため支給が停止されている場合
在職老齢年金とは、働きながら年金を受け取る際に、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となる制度です。
老齢厚生年金と加給年金の合算額が年金支給停止の基準を超えると、加給年金も支給されなくなります。
4.3 繰下げ受給を利用している場合
加給年金は繰下げ受給を選択すると、65歳から繰下げ受給を開始するまでの期間中は受け取ることができません。
繰下げ受給を利用することで老後資金を増やすことは可能ですが、加給年金を受け取れないというデメリットを考慮し、慎重に選択することが重要です。
5. 加給年金を見落としがちなケースとは?
加給年金は、要件を満たしていても自動的には支給されない制度です。気づかずに申請を忘れてしまうと、本来受け取れるはずの金額を逃してしまうこともあります。
ここでは、加給年金を見落としがちなケースと、見逃さないためのチェックポイントを紹介します。
5.1 「加給年金」を申請していない人に共通する4つの特徴とは?よくある見落としケース
加給年金の存在はあまり広く知られておらず、対象者であるにもかかわらず受給していない人も少なくありません。
特に次のようなケースでは見落としが発生しやすくなります。
- 年の差夫婦だが、配偶者の年金加入歴をきちんと確認していない
- 厚生年金の加入年数が20年以上あることを本人が把握していない
- 退職後に扶養している子どもがいても、年金制度の知識がない
- 年金事務所からの通知を受け取ったが、申請手続きを後回しにしていた
これらのケースでは、「知らなかった」「気づかなかった」ことが原因で、数十万円規模の加算を受け取れないという事態が起こり得ます。
5.2 見逃しを防ぐチェックポイント
加給年金の受給を確実にするためには、65歳を迎える前後に必要な情報を整理し、申請の準備を進めることが肝心です。
以下のチェックリストを活用し、もれのないよう確認しましょう。
- 自身の厚生年金加入期間が20年以上あるか?
- 配偶者が65歳未満かつ厚生年金の加入期間が20年未満か?
- 扶養している18歳未満の子ども、または障害のある20歳未満の子どもがいないか?
- 年金ネットや年金事務所で、自分が加給年金の対象かどうか確認したか?
こうした情報を整理しておくことで、加給年金の申請漏れを防ぎ、受け取れる年金額を最大限に活用することができます。
6. 対象者は申請して加給年金を受けとろう
「加給年金」の受給条件や支給額について解説してきました。
加給年金は、扶養する配偶者や子どもがいる場合に対象となるケースがありますので、要件を確認しておきましょう。
なお、加給年金は、要件を満たしていても自動的に支給されるものではありません。
申請しなければもらえない点に留意しておきましょう。
加給年金の対象かどうか不明な場合は、年金事務所や年金相談センターでご相談ください。
参考資料
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和7年度版」
- 日本年金機構「加給年金額と振替加算」
- 日本年金機構「【記入例】老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」
- 日本年金機構「加給年金額を受けられるようになったとき」
- 日本年金機構「配偶者が65歳になりました。加給年金額に変更はありますか。」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
マネー編集部年金班