業界別では、製薬業界がもっとも高く、博士卒で約30万円、修士卒で約26万円、学部卒で約24万円と、バイオ系のなかでも高い初任給が設定されています。製薬業界以外でも、博士卒は25万円以上のところが多く見受けられますが、修士卒と区別せずに院卒としている企業も少なくありません。

また、賃金動向に特化した情報を掲載している「年収ラボ」によれば、平均年収でも製薬業界の水準が高く、化学、食品、化粧品と続いています。また、研究者の平均年収が600万円というデータからみても、業界によらず比較的、安定した収入が得られるといえるでしょう。

バイオに寄せられる大きな期待

近年、「バイオエコノミー」という概念が国際的に広がっています。これは、生物資源やバイオテクノロジーによって、化石燃料の多用がもたらす環境問題などの地球規模の課題を克服しつつ、新たな産業の振興と経済成長を実現しようという概念です。

環境や気候変動の問題以外にも、人口増加による食料や水不足、世界的な感染症の流行など、地球規模で懸念されている課題を解決する手段として、バイオテクノロジーには大きな期待が寄せられています。

“Bio is the new digital“(バイオこそ、デジタルのつぎの革新的技術)という、マサチューセッツ工科大学メディアラボの創設者、ニコラス・ネグロポンテ氏の言葉があります。デジタル社会になって、世の中のあらゆるモノがつながったように、今度はバイオが社会に大きな変革をもたらすのかもしれません。

執筆協力:堀川晃菜
参考文献:『バイオ技術者・研究者になるには』(堀川晃菜著、ぺりかん社)

本書では、キリンビール、キッコーマン食品、タキイ種苗、コーセー、花王などの企業研究員や、創薬研究者である大学教員の事例も紹介されています。

LIMO編集部