2. 食料・農林水産業
食に関する分野には非常に多くの企業が参入しています。食品産業の企業は日本だけでも90万社以上あるといわれ、そのうち大企業は1%です。特に近年は高齢化が進み、健康寿命を意識する人が増えているなか、特定保健用食品(トクホ)をはじめとする機能性食品が健康ブームの火つけ役となっています。
世界的には人口増加や異常気象による食料不足を心配する声がある中で、植物工場などの新たな栽培技術や、魚など水産物の養殖技術にも注目が集まっています。また、ゲノム編集技術を利用した効率的な品種改良にも期待が寄せられています。
3. 化学品(バイオケミカル)
バイオケミカルとは、バイオ技術を用いて機能性のある化学製品を製造する分野です。食品や医薬品の原料、農薬、工業用品など応用分野は多岐にわたります。
その中核を担っているのが発酵技術です。発酵食品に限らず、微生物の代謝によって有益な物質を得ようとする広い意味での発酵です。特にアミノ酸やビタミン、酵素など高分子の化合物であるほど生物にしかつくれないため需要があります。
また、生物のすぐれた機能や形状を模倣する「バイオミメティクス」は、新たな技術を取り入れ、さらに発展しています。たとえば、鋼鉄の340倍の強靭性とナイロンを上回る伸縮性をもつ人工のクモ糸は、タンパク質や遺伝子の設計技術、遺伝子組換え技術、発酵工学などの技術を結集してつくられています。