秋の陽気に変わってきた9月も今日で終わりですね。明日からは10月に入り、今年5回目となる年金支給日も10月15日に予定されています。老後の生活について、どのような暮らしを思い描いていますか?毎日が日曜日のような生活や、趣味や旅行を楽しむゆとりある暮らしが理想かもしれません。
しかし、筆者の資産運用アドバイザーとしての経験から、多くの方が「老後の生活に余裕がなく不安」と感じている現状を耳にします。理想的な老後を実現するためには、早い段階から計画的に貯蓄を始めることが重要です。
本記事では、老後が近づく50歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額を紹介し、老後生活に余裕を持たせるためのポイントについて詳しく解説します。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。
1. 【50歳代】二人以上世帯の「平均貯蓄額」はいくら?
まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」を参考に、50歳代・二人以上世帯の貯蓄事情を確認していきましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
- 平均値:1168万円
- 中央値:250万円
- 金融資産非保有:29.2%
- 100万円未満:8.7%
- 100~200万円未満:5.9%
- 200~300万円未満:5.1%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:3.2%
- 500~700万円未満:6.3%
- 700~1000万円未満:5.8%
- 1000~1500万円未満:7.6%
- 1500~2000万円未満:3.8%
- 2000~3000万円未満:6.3%
- 3000万円以上:10.7%
- 無回答:3.8%
50歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1168万円とされていますが、この「平均値」は一部の高資産世帯によって押し上げられている傾向があります。
一方で、より実態を表すとされる中央値は250万円にとどまり、老後資金の目安とされる2000万円には達していません。
1.1 3000万円以上保有は何パーセント?
貯蓄額の分布を見ても、3000万円以上の割合は約1割、1000万円以上の世帯は全体の約3割にとどまる一方、貯蓄ゼロの世帯も同程度存在しており、貯蓄格差が浮き彫りとなっています。
この世代は年収が最も高くなる時期である一方で、子育てや住宅ローンなど多額の支出も重なり、計画的な貯蓄が難しい家庭も多く見受けられます。
「子育てが一段落したら老後資金の準備を本格化させたい」と考えていたとしても、親の介護で離職せざるを得ないなど、想定外の事情で計画が頓挫するケースもあります。
50歳代はリタイア前ではあるものの、安定的に貯蓄できる状況にない世帯も多いため、現在の貯蓄額だけに目を向けるのではなく、退職後を見据えた長期的な視点での家計管理が求められます。
そんな中で、50歳代の多くが関心を持ち始めるテーマの一つが「老齢年金」であると言えるでしょう。