人材確保のために、初任給を引き上げる企業が増えています。30万円程度まで引き上げる企業のほか、40万円台に乗った企業も出てきているようです。賃上げの波は、新規採用職員には確実に届いているといえます。

しかし、いわゆる「就職氷河期世代」とよばれる40〜50歳代の人は、こうした対策に不公平さを感じているのではないでしょうか。満足な給料を受け取れないと、老後の年金受給額にも影響をおよぼします。

加えて、現代の物価高の状況では、公的年金だけではなかなか暮らせないでしょう。この記事では、公的年金だけで生活できない人が使いたい給付や制度について解説します。

1. 公的年金だけでは生活できない?平均受給額を確認

日本の公的年金は、以下の2つに分かれます。

  • 基礎年金:保険料を納めた期間によって金額が決まる
  • 厚生年金:厚生年金保険への加入期間や現役時代の給与によって金額が決まる

しかし、受給できる金額は現役時代の給与が完全に補償される金額ではありません。基礎年金・厚生年金の平均受給額を確かめていきましょう。

1.1 国民年金(基礎年金)

《国民年金》老齢年金の月額階級別受給権者数

《国民年金》老齢年金の月額階級別受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:5万7584円
〈男性〉平均年金月額:5万9965円
〈女性〉平均年金月額:5万5777円

1.2 厚生年金(基礎年金含む)

《厚生年金》老齢年金の月額階級別受給権者数

《厚生年金》老齢年金の月額階級別受給権者数

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:14万6429円
〈男性〉平均年金月額:16万6606円
〈女性〉平均年金月額:10万7200円

基礎年金は平均5万円台、厚生年金は平均14万円台です。基礎年金は20歳になると誰もが加入するため、男女で金額差はありません。しかし、厚生年金は男女によるキャリアの違いなどから加入期間や給与に差が出やすい分、年金受給額にも差が見られます。

基礎年金しか受け取れない人は、老後は毎月5万円程度の年金を頼りにしなければならず、十分な貯蓄がなければ生活に困窮してしまいます。厚生年金を受け取れても合計では14万円程度で、決して余裕のある暮らしができるとは限りません。

では、公的年金以外にはどのような制度を使えばよいのでしょうか。次章で解説します。