2025年5月30日、株式会社帝国データバンクは「「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2025年6月」を発表。

2025年6月の値上げは合計「1932品目」で、前年の約3倍の増加となることがわかりました。

今年に入り、前年と比べて強い勢いで値上げが進んでいます。2025年度は年金額が前年度から1.9%の増額となり、6月13日に増額改定率が反映された年金が支給されますが、そもそも物価上昇率に追い付いていない改定率です。その上、毎月値上げが続いていますから、「年金額増額」を手放しで喜べる状況とはいえません。 

こうした状況下、いまのシニア世代の暮らしはいかほどか。生活費や年金額、貯蓄額などから考察してみましょう。

1. 【65歳以上の無職夫婦世帯】ひと月の収支は「赤字」に…

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支データをのぞいてみましょう。

1.1 毎月の実収入:25万2818円

うち社会保障給付(主に年金)22万5182円

1.2 毎月の支出:28万6877円

うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590円
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
  • 諸雑費:2万2125円
  • 交際費:2万3888円
  • 仕送り金:1040円

うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

1.3 毎月の家計収支

  • 3万4058円の赤字

この世帯の場合、支出の合計は28万6877円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が25万6521円です。

一方で、ひと月の収入は25万2818円になりました。

その約9割(22万5182円)を社会保障給付(主に公的年金)が占めますが、結果的には毎月3万4058円の赤字となり、貯蓄の取り崩しなどでカバーが必要です。

ただし上記の支出の内訳には「介護費用」がなく、住居費も1万円台となっています。世帯構成や健康状態により、さらに上乗せの出費を想定しておく必要もあるでしょう。

次では貯蓄事情について見ていきます。