2. 【65歳以上の無職夫婦世帯】貯蓄額はどのくらい?
高齢夫婦世帯の経済的なゆとりを把握するうえで、貯蓄額の実態は重要な指標のひとつです。
総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-」によれば、2024年時点における「世帯主が65歳以上かつ無職」の二人以上の世帯では、平均貯蓄額が2560万円に達しています。
貯蓄の内訳を見ると、最も多くの金額を占めているのが定期性預貯金で859万円、続いて通貨性預貯金が801万円と比較的手元に置きやすい資産も多い傾向にあります。
また、有価証券(※1)に501万円、生命保険などに394万円を割いている世帯もあり、資産の分散運用がなされている様子がうかがえます。
前年比の増減を見てみると、通貨性預貯金は約47万円増加しており、これは6.2%の伸び率です。一方で、有価証券の増加幅は21万円で、こちらは4.4%。貯蓄も有価証券も増えていることから、貯蓄から投資への動きというよりは、投資した資産が膨らんでいるケースが多いと考えて良いでしょう。
※1 有価証券:株式,債券,株式投資信託,公社債投資信託,貸付信託,金銭信託など(いずれも時価)
※2 金融機関外:金融機関以外への貯蓄のことで、社内預金、勤め先の共済組合への預金など
一方、貯蓄が十分でない場合でも、年金などの公的収入が安定していれば日常生活を維持することは可能です。
前章で触れたように、夫婦世帯の「社会保障給付(主に年金)」は、月平均で22万5182円程度とされています。次に、これを個人ベースに置き換えて、よりリアルな生活水準を把握していきましょう。
3. 【老齢年金】国民年金・厚生年金の平均受給額はいくらか
ここからは厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、2023年度末時点の年金額を見ていきます。
厚生労働省「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2023年度末の国民年金・厚生年金(※)の平均年金月額は以下の通りです。
※厚生年金の被保険者は第1号~第4号に区分されており、ここでは民間企業などに勤めていた人が受け取る「厚生年金保険(第1号)」(以下記事内では「厚生年金」と表記)の年金月額を紹介します。また、厚生年金の月額には国民年金(老齢基礎年金)部分が含まれています。
3.1 国民年金(老齢基礎年金)
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
3.2 厚生年金(国民年金部分を含む)
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
平均年金月額は、国民年金のみを受け取る場合で5万円台。厚生年金(国民年金部分を含む)を受け取る場合で、男性16万円台、女性10万円台です。
とはいえ、国民年金、厚生年金それぞれの受給権者の中でも個人差が出ます。1万円未満の低年金となる人から、25万円を超える高額受給者までさまざまです。
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人