3. 【繰下げ受給の損益分岐点】何歳まで生きればお得になる?

繰下げ受給の「損益分岐点」は、60歳や65歳で受給を開始した場合と比較して、繰下げ受給を選択した場合の合計受給額がプラスになる年齢のことです。

一般的には「80歳代前半から半ば頃」が損益分岐点となる場合が多いですが、実際には個々の年金額や繰下げ期間などによって変動します。

例えば、65歳時点での年金額が120万円(月額10万円)のケースを考えてみましょう。

3.1 70歳で受給を開始する場合

70歳まで受給を繰下げる場合の増額率は42%(0.7%×60ヵ月)のため、受給額は170万4000円(月額14万2000円)となります。

この場合の損益分岐点は「81歳11ヵ月」となるため、これより長生きする場合、繰下げ受給したほうが多くの年金を受け取れます。

  • 65歳で受給開始:10万円×203ヵ月(16年11ヵ月)=2030万円
  • 70歳で受給開始:14万2000円×143ヵ月(11年11ヵ月)=2030万6000円

3.2 75歳で受給を開始する場合

75歳まで受給を繰下げる場合の増額率は84%(0.7%×120ヵ月)のため、受給額は220万8000円(月額18万4000円)となります。

以下の計算のとおり、この場合の損益分岐点は「86歳11ヵ月」です。

  • 65歳で受給開始:10万円×263ヵ月(21年11ヵ月)=2630万円
  • 75歳で受給開始:14万2000円×143ヵ月(11年11ヵ月)=2631万2000円