2025年4月より4000品目も値上げとなったことはご存じでしょうか。
値上げ品目の一部をご紹介すると、
- 「調味料」(2034 品目)は、全食品分野で最も多く調理用みそ製品が中心
- 「酒類・飲料」(1222 品目)は、缶ビール・缶チューハイ・コーヒー飲料
- 「加工食品」(659 品目)は、ハム・ソーセージ製品や冷凍食品など
その他、食用油など「原材料」(33 品目)を含め、嗜好品や利用頻度の高い飲食料品が対象となりました。
こうした物価上昇に対応するため、2024年度の年金支給額は4月支給分から引き上げられることが決定しています。ただ、それだけでは生活の安定を保つのが難しい方もいるかもしれません。
そこで今回は、生活が厳しいと感じる世帯に向けた支援制度について詳しく解説します。また、年金受給者がなぜ「住民税非課税世帯」になりやすいのかも考えていきましょう。
ご自身やご家族が該当する可能性のある方は、ぜひチェックしてみてください。
1. 【現在進行中】住民税非課税世帯対象の給付金とは?
2024年11月22日に「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定されました。
12月に可決・成立した2024年度補正予算には、物価高騰の影響を受けやすい低所得者世帯、特に「住民税非課税世帯」を対象とした給付金が盛り込まれています。
4月現在、各自治体で給付作業が進んでいます。
支給額は1世帯あたり3万円です。18歳以下の児童がいる世帯には、児童1人あたり2万円が加算されます。
例えば、「夫婦+対象となる子ども2人」の世帯であれば、支給額は合計7万円です。
1.1 今回の給付金の対象となる世帯
対象となるのは「住民税非課税世帯」です。
【ご注意】給付金の申請方法や給付までのスケジュール、細かい支給要件などは市区町村により異なります。お住まいの自治体の最新情報を、ホームページや広報誌などでご確認ください。LIMOでは個別のお問い合わせへのお答えはいたしかねます。
次章では住民税についておさらいし、「住民税非課税世帯」の要件について詳しく解説します。
2. 住民税非課税世帯とは?
まずは住民税の仕組みを確認し、住民税非課税世帯となる要件を見ていきましょう。
2.1 住民税の基本
住民税は、住んでいる都道府県や市区町村に支払う地方税です。地方自治体の重要な財源であり、公共サービスやインフラ整備に使われます。
個人住民税は、均等割と所得割の2つの部分から成り立っています。
- 均等割:所得に関係なく一律に課税される部分
- 所得割:所得に応じて税額が決まる部分
均等割・所得割ともに免除になることを「住民税非課税」と言います。「住民税非課税世帯」は、世帯全員が住民税非課税となる世帯を指します。
なお、「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。ただし今回の給付金の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。
2.2 住民税が非課税となる<3つの要件>
では、住民税が非課税となる要件を詳しく見てみましょう。
以下のいずれかに該当した場合、住民税が非課税となります。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
- 前年の所得が各市町村の基準を下回る
1と2の要件は全ての市区町村で共通ですが、3の所得要件は市区町村ごとに異なる基準があります。
次章では札幌市を例に挙げて、具体的に基準について確認していきましょう。
3. 「住民税非課税世帯」となる所得の基準は?
「住民税非課税世帯」に該当する所得の限度額を確認していきます。
基準は市区町村ごとに異なりますので、ここでは札幌市の例を見てみましょう。
3.1 【札幌市の場合】所得割・均等割の両方が非課税の世帯
- 扶養親族を有さない方:45万円
- 扶養親族を有する方:35万円×家族数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+31万円
3.2 【札幌市の場合】所得割のみが非課税の世帯
- 扶養親族を有さない方:45万円
- 扶養親族を有する方:35万円×家族数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+42万円
「収入」から控除や経費を差し引いたものが「所得」ですが、具体的な所得金額の基準は、自治体によって大きく異なります。
ご自身が住民税非課税世帯に該当するかどうか知りたい場合は、お住まいの自治体の広報やホームページで確認しましょう。
続いて、年齢層ごとの住民税課税世帯の割合を見ていきます。
4. 年金暮らしの高齢者世帯は「住民税非課税世帯」になりやすい?
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」の資料から、年齢層別に住民税が「課税される世帯」の割合を見てみましょう。
- 30歳代:88.0%
- 40歳代:90.0%
- 50歳代:86.4%
- 60歳代:78.3%
- 70歳代:64.1%
- 80歳代:47.5%
- 65歳以上(再掲):61.9%
- 75歳以上(再掲):50.9%
注1:全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯が含まれます。
注2:総数には、年齢不詳の世帯が含まれます。
注3:住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む。
住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では約90%でしたが、60歳代で78.3%となります。その後65歳以上は61.9%、75歳以上は50.9%となっています。
年齢が高くなるにつれて、住民税が課税される世帯の割合は低くなっています。
一般的に年金生活に入ると現役時代よりも収入が減少し、それに加えて65歳以上の方には公的年金に対する所得控除が大きく、また遺族年金が課税対象とはなりません。
そのため、高齢者の年金生活者は「住民税非課税世帯」に該当しやすい傾向があるからでしょう。
続いて、各年代別の貯蓄額に関するデータを紹介します。
5. 20歳代~70歳代の貯蓄額《平均・中央値・貯蓄100万円世帯の割合など》
各年代別に二人以上世帯の貯蓄額について見ていきましょう。
平均と中央値、ならびに「100万円未満の世帯の割合」を、金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとに紹介します。
5.1 全体
- 平均1374万円 中央値350万円
- 貯蓄100万円未満の割合33.1%(うち貯蓄ゼロ世帯24.0%)
5.2 20歳代
- 平均382万円 中央値84万円
- 貯蓄100万円未満の割合46.2%(うち貯蓄ゼロ世帯22.8%)
5.3 30歳代
- 平均677万円 中央値180万円
- 貯蓄100万円未満の割合37.6%(うち貯蓄ゼロ世帯24.5%)
5.4 40歳代
- 平均944万円 中央値250万円
- 貯蓄100万円未満の割合36.9%(うち貯蓄ゼロ世帯25.7%)
5.5 50歳代
- 平均1168万円 中央値250万円
- 貯蓄100万円未満の割合37.9%(うち貯蓄ゼロ世帯29.2%)
5.6 60歳代
- 平均2033万円 中央値650万円
- 貯蓄100万円未満の割合27.0%(うち貯蓄ゼロ世帯20.5%)
5.7 70歳代
- 平均1923万円 中央値800万円
- 貯蓄100万円未満の割合26.2%(うち貯蓄ゼロ世帯20.8%)
貯蓄の平均値や中央値を見ると、年齢が上がるほど貯蓄額も増加しています。
しかし、どの年齢層でも、貯蓄額が100万円未満の世帯が30%~40%程度存在しています。
特に、中央値が平均値の3分の1から4分の1程度となっており、貯蓄額には大きなばらつきがあることがわかります。
少数の高額貯蓄世帯が平均値を引き上げている可能性が高いのでしょう。
6. 【年金の基本】本人が年金の相談に行けないとき、家族や友人が代わりに相談に行ってもいいですか。
年金受給に関して疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。ここでは、最低限知っておきたい「年金についての基本」を説明します。
6.1 Q 家族や友人が代わりに相談に行けますか?
→A 本人が年金の相談に行けない場合、家族や友人が代わりに相談することは可能です!
代理の方が相談に行く際には、以下の書類が必要です。
- 本人の委任状:日本年金機構のウェブサイトから「年金相談・手続き委任状」をダウンロードできます。
- 代理人の方の本人確認ができる書類:運転免許証、パスポートなど。
ただし、個人情報を含む年金相談には、本人(委任者)の基礎年金番号が必要です。
7. まとめ
4月からは値上げだけでなく生活に関わる制度や支援策も動き出します。
- 電気や都市ガス値上げ
- 電気代に上乗せする際エネ賦課金が増額
今後も日々のやりくりに頭を悩ませる日々が続きそうです。
物価高騰の影響を受けやすい低所得者世帯、特に「住民税非課税世帯」を対象とした給付金は、特に所得の低い年金受給者にとって実質的な支援となる仕組みです。
制度の概要や支給対象、申請の方法をきちんと把握しておくことで、必要な支援を漏れなく受け取ることができます。
社会全体がインフレや制度の変化に揺れる今こそ、自分や家族の暮らしを守るために、使える制度を正しく理解して活用することが重要です。
年金額の増額とあわせて、支援制度の情報をしっかり押さえておきましょう。
参考資料
- 内閣府特命担当⼤⾂(経済財政政策)「国⺠の安⼼・安全と持続的な成⻑に向けた総合経済対策」
- 総務省「個人住民税」
- 札幌市「個人市民税」
- 厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 日本年金機構「年金Q&A (年金相談)」
- 日本年金機構「年金相談や手続きを代理人に委任するとき」
三石 由佳

